化学物質過敏症を病名登録 健康保険適用されやすく
http://www.47news.jp/CN/200906/CN2009061501000460.html



 厚生労働省は15日までに、医療機関が診療報酬を請求する際の病名として、化学物質過敏症を10月1日付で登録することを決めた。治療に健康保険が適用されやすくなり、患者にとっては朗報となる。


 化学物質過敏症は、塗料や殺虫剤などに含まれる微量の化学物質が原因で頭痛や吐き気などが起きる症状。シックハウス症候群もその一種とされる。


 診療報酬明細書(レセプト)に記載できる病名は厚労省が定めるリストで決められているが、これまで化学物質過敏症は登録されていなかった。医療機関が「その他の病気」としてレセプトに記載することはできたが、リストに未登録だと、保険が適用されず治療費が全額自己負担になることが多かったという。


 登録を要望していた特定非営利活動法人(NPO法人)「化学物質過敏症支援センター」の広田(ひろた)しのぶ事務局長は「これまでは自律神経失調症など別の病名を書かれることが多く、病名として認められたのは前進だ」と話している。



 最初に断っておきますが私には、診療報酬請求の際の病名として登録される、と言うのが具体的にどういうことを意味しているのか、はっきりと分かりません。オカルティックな病名でも普通に登録されているものは多数ある、と言うならたいした話でもないんでしょうが。


 なんか、えぇ~?って感じのニュースです。
 化学物質過敏症はまだ未科学に近いものだというのが通例です。まだとはいえ、おそらく将来を見渡しても、疾患としてちゃんと(科学的な根拠を伴って)定義付けられることはないのではないかと思います。
 ただ、そういうものだとは言っても、症状に苦しんでいる人が存在することもまた事実ですから、保険請求しやすくなることが悪いとまで言うつもりはありません。


 しかしこれで、化学物質過敏症に公的な根拠がついた!などと特定の人に主張されそうなのは嫌です。


 化学物質過敏症のもっとも罪深いところは、原因について思考を放棄させるところ、そして正しい治療から人を遠ざけることだと思います。
 化学物質過敏症では、原因物質が何なのかそれがどういう機序でどこに作用するのか、などがまったく解明されていません。解明されていないどころか、プラセボを強く疑うような研究報告まで挙がっています。
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=4700


 ところが、とにかく化学物質に触れたら症状が出るので化学物質(農薬や食品添加物、化粧品など)を排除すればいいのだ、などという極めて大ざっぱで短絡的な考えがまかり通っているのが常で、これではいつまでたっても化学物質過敏症は克服されません。克服されないに決まっています。
 自分の体内でも、毎分毎秒化学反応が起こり極めて大量の化学物質が生成されている、と言う事実を知った時その人は無事に生きていられるのでしょうか。


 これがシックビル症候群になるとまた話は少し違って、原因物質がそれなりに特定されていたりするんですが、化学物質過敏症となると扱う範囲が曖昧すぎてほとんど何も特定されていないのと同じで、つまりものすごーく濫用される保険病名となる恐れがあります。
 そもそも、化学物質過敏症でどういう治療をして、報酬請求するのかもよくわかりませんがね・・・。


 NATROM先生 のコメントを読んでみたいです。


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