嘘をつく人は、本当のことを誰よりも知っている
嘘をつく人は、覚えておくことが多すぎて眠れない
嘘をつく人は、自分の言葉にいつも少し遅れて追いつく
嘘をつく人は、相手の目より先に自分の目をそらす

嘘をつく人は、傷つけたくなくて嘘をつき、結局いちばん深く傷つける
嘘をつく人は、守りたいものの数だけ嘘を重ねる
嘘をつく人は、嫌われるより先に、見捨てられることを恐れている
嘘をつく人は、本当の自分では愛されないと信じ込んでいる

嘘をつく人は、他人をだます前に、まず自分をだます
嘘をつく人は、嘘が上手くなるほど、本当のことが言えなくなる
嘘をつく人は、いつか自分の嘘を信じてしまう
嘘をつく人は、鏡の前でだけ黙り込む

嘘をつく人は、優しい嘘と卑しい嘘の境目に、毎晩ひとりで立っている
嘘をつく人は、「大丈夫」という嘘で、今日も誰かを安心させている
嘘をつく人は、病室で「すぐ良くなるよ」と笑ってみせる
嘘をつく人は、子どもにサンタクロースを贈る

嘘をつく人は、許されることより、見抜かれることを待っている
嘘をつく人は、嘘を見破ってくれる人にだけ、心を開く
嘘をつく人は、最後の嘘をつく日を、ずっと探している
嘘をつく人は、本当は誰よりも、本当のことを言いたかった人だ




人は、言葉より先に沈黙で嘘をつく
嘘をつく人は、少しだけ饒舌になる
嘘をつく人は、聞かれてもいない理由を語りはじめる
嘘をつく人は、笑顔の筋肉だけが疲れている

嘘をつく人は、一つの嘘のために十の嘘を雇う
嘘をつく人は、嘘の家に住み、雨漏りを数えて暮らす
嘘をつく人は、昨日の自分と話を合わせるのに必死だ
嘘をつく人は、記憶ではなく台本で生きている

嘘をつく人は、正直者を羨みながら、少しだけ見下している
嘘をつく人は、他人の嘘には誰よりも厳しい
嘘をつく人は、「信じて」と言うたびに、自分を信じられなくなる
嘘をつく人は、疑われることで、かろうじて自分の存在を確かめる

嘘をつく人は、幼い日に、本当のことを言って叱られた
嘘をつく人は、正直が報われなかった夜を覚えている
嘘をつく人は、嘘で生き延びた日を、恥じながら感謝している
嘘をつく人は、嘘がなければ壊れていた家族を知っている

嘘をつく人は、「愛してる」とだけは嘘で言えない
嘘をつく人は、別れ際に「また会おう」と嘘をつき、ほんとうに会いたくなる
嘘をつく人は、死にゆく人の手を握って「怖くないよ」と言う
嘘をつく人は、その嘘が本当になることを祈っている

嘘をつく人は、神の前でだけ子どもに戻る
嘘をつく人は、すべてを打ち明けた朝、驚くほど軽くなる
嘘をつく人は、真実が人を自由にすることを、身をもって知る最後の人だ
嘘をつく人は、私たちのことだ



愛すべき人は…

嘘をつかなければ

生きられない人たちかもしれないね






正直な人は、時々ひどく不器用に見える

正直な人は、言葉が少なく、目が多くを語る

正直な人は、沈黙のあいだも嘘をつかない

正直な人は、覚えておくことが少なくて、よく眠る


正直な人は、本当のことを言うたびに、少しずつ損をする

正直な人は、損をした分だけ、背筋がまっすぐになる

正直な人は、褒め言葉が下手で、だからこそ信じられる

正直な人は、場の空気より、目の前の人を選ぶ


正直な人は、他人を傷つけないために、言葉を選び抜く

正直な人は、黙ることを嘘と呼ばない

正直な人は、優しさと正直の間で、いちばん長く迷う

正直な人は、真実を差し出す前に、相手の手が空いているかを確かめる


正直な人は、嘘をつく人の痛みを、誰よりも見抜いてしまう

正直な人は、見抜いた嘘を、黙って許すことがある

正直な人は、裏切られても、正直をやめない

正直な人は、それを強さとは呼ばず、ただ「こうしか生きられない」と言う


正直な人は、自分の弱さにも正直だ

正直な人は、「わからない」と言える

正直な人は、間違えた時、いちばん早く頭を下げる

正直な人は、昨日の自分と、話を合わせる必要がない


正直な人は、少ない友と、深くつながる

正直な人は、去っていく人を、追わずに見送る

正直な人は、最後に残った人の手を、一生離さない


正直な人は、嘘をついたことがない人ではない

正直な人は、嘘の重さを知って、引き返してきた人だ






















正直な人は、かつて嘘をついた人の、未来の姿だ