【成長性85点】カルナバイオ(4572) キナーゼ技術の真価とギリアド提携の未来
こんにちは、投資家のりょーーです。
「バイオ株って夢はあるけど、怖くて手が出せない」
「専門用語が難しすぎて、何をしている会社かわからない」
そんなサラリーマン投資家の方や、日々忙しいワーママの皆さんへ。今日は、日本のバイオベンチャーの中でも「技術力」で世界的な製薬会社と渡り合っている、非常に興味深い企業「カルナバイオサイエンス」を徹底解剖します。
先に結論を言ってしまうと、この会社は「安定した配当目当て」で買う株ではありません。しかし、将来的に株価が数倍になるかもしれない「夢のチケット」をポートフォリオに少しだけ入れたいなら、最有力候補の一つになり得る企業です。
🔍 カルナバイオサイエンス (4572) 速報データ
- 主な事業:キナーゼ阻害薬の創薬、および創薬支援事業
- 代表的な製品:キナーゼタンパク質(研究用試薬)、自社開発薬AS-1763など
- 予想配当金:0円(無配)
- 予想配当利回り:0.00%
- 株価変動率(直近1年):非常に激しい(高値と安値で倍以上の差が出ることも)
- 株主優待:あり(※要確認)
⚠️ 株主優待についての重要なお知らせ
カルナバイオサイエンスは「プレミアム優待倶楽部」を導入していましたが、バイオベンチャーは研究開発費確保のために優待を廃止・変更するケースが多々あります。
直近のデータでは、500株以上保有等の条件でポイント付与の実績がありますが、投資する際は必ず公式サイトで最新の「株主優待制度」の有無を確認してください。
最近のニュースでは、世界的製薬大手ギリアド・サイエンシズ社との提携継続確認や、自社パイプラインである血液がん治療薬「AS-1763」の臨床試験結果が学会で注目を集めています。
なぜこの赤字バイオ企業に、私が「成長性85点」という高得点をつけたのか?その根拠とリスクを、専門用語をできるだけ噛み砕いて解説していきます。
📑 この記事の目次
- 1. カルナバイオってどんな会社?「キナーゼ」を30秒で理解する
- 2. 財務分析:なぜ赤字でも潰れない?2つのエンジンとは
- 3. 投資の目玉!ギリアド社との提携と自社開発薬
- 4. サラリーマン・ワーママ投資家へのアドバイスとリスク
- 5. まとめ:成長性85点の根拠と将来性評価
1. カルナバイオってどんな会社?「キナーゼ」を30秒で理解する
まず、社名にもなっている「バイオサイエンス」という響き。難しそうですよね。でも、この会社の強みはたった一つのキーワードで表せます。それが「キナーゼ(Kinase)」です。
細胞のスイッチ「キナーゼ」
私たちの体の中には、無数の細胞があります。その細胞たちに「増えろ!」「動け!」「死ね!」と命令を伝える伝令役のタンパク質がいます。それが「キナーゼ」です。
イメージしてください。
- 正常なキナーゼ:必要な時だけONになるスイッチ。
- がん細胞のキナーゼ:壊れてしまって、勝手にずっとONになりっぱなしのスイッチ。
スイッチがONになりっぱなしだと、細胞が無限に増殖して「がん」になります。カルナバイオサイエンスは、この「壊れたスイッチ(キナーゼ)だけをカチッとOFFにする薬(キナーゼ阻害薬)」を作るプロフェッショナル集団なのです。
なぜカルナバイオが凄いの?
実は、このキナーゼを作る技術、めちゃくちゃ難しいんです。世界中の製薬会社が薬を作るために「実験用のキナーゼ」を欲しがっていますが、高品質なキナーゼを作れる会社は世界でも一握り。
カルナバイオは、その「実験用キナーゼ」を製造・販売するトップランナーであり、その技術を使って「自分たちでも薬を作っちゃおう」としている会社なのです。
2. 財務分析:なぜ赤字でも潰れない?2つのエンジンとは
投資家として一番気になるのは「お金」の話ですよね。直近の業績を見てみましょう。
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 |
|---|---|---|---|
| 2021年12月期 | 20.1億円 | -5.3億円 | -5.3億円 |
| 2022年12月期 | 13.8億円 | -12.6億円 | -13.4億円 |
| 2023年12月期 | 16.2億円 | -11.1億円 | -11.5億円 |
| 2024年12月期(予) | 6.3〜7.2億円 | -20億円超 | -21億円超 |
※数値は各年度の決算短信・会社予想より。直近は研究開発費の増大により赤字幅が拡大傾向。
「えっ、ずっと赤字だし、しかも赤字が増えてるじゃない!」と思われた方、その感覚は正常です。普通の製造業なら倒産危機です。しかし、バイオベンチャーの評価方法は少し違います。
ビジネスモデル:2つのエンジン
カルナバイオには2つの事業の柱があります。
- ① 創薬支援事業(日銭を稼ぐ):
製薬会社に「実験用キナーゼ」を売ったり、実験を代行したりするビジネス。ここは黒字で、毎年安定した売上があります。これがカルナバイオの生命維持装置です。 - ② 創薬事業(夢を追う):
自社で新薬を開発するビジネス。ここには莫大な研究開発費(年間10億〜20億円以上)がかかるため、会社全体では大赤字になります。しかし、薬が完成したり、大手にライセンスアウト(権利貸与)できた瞬間に、数十億〜数百億円が入ってきます。
つまり、今の赤字は「将来の数百億円のための先行投資」です。見るべきポイントは「赤字かどうか」ではなく、「手元の現金が尽きる前に、次の大きな契約(マイルストーン)が入ってくるか」という点に尽きます。
3. 投資の目玉!ギリアド社との提携と自社開発薬
ここが今回の記事で一番重要なポイントです。カルナバイオの株価を動かす材料は、主に以下の2つです。
① ギリアド・サイエンシズとの大型契約(GS-9911)
2019年、カルナバイオは米国の超巨大製薬企業ギリアド社と契約を結びました。契約金等は最大で約500億円規模にもなる超大型案件です。
- 現状:ギリアド社が開発中。
- 最近のニュース:2025年9月、開発中止の懸念がありましたが、ギリアド側から「契約終了の意向はない」との回答を得たと発表されました。これは首の皮一枚繋がったどころか、開発継続というポジティブな材料です。
- 今後:臨床試験の進展があれば、数億円〜数十億円単位の「マイルストーン収入」が突然入ってきます。これが株価急騰のトリガーです。
② 自社開発のエース「AS-1763」
現在、カルナバイオが総力を挙げて開発しているのが、血液がん向けの薬「AS-1763」です。
- 何が凄いの?:既存の薬が効かなくなった(耐性ができた)患者さんにも効く可能性があります。
- 進捗:アメリカなどで臨床試験(フェーズ1b)を実施中。学会発表でも良好な安全性と効果が示唆されています。
- 狙い:この薬のデータが良ければ、どこかの製薬会社に高く売れる(ライセンスアウト)可能性があります。これが実現すれば、カルナバイオの時価総額水準は一変するでしょう。
ここがポイント!
ただの赤字バイオではなく、「ギリアド」という世界的企業に認められた技術力があること。これが他の有象無象のバイオベンチャーとは一線を画す点です。
4. サラリーマン・ワーママ投資家へのアドバイスとリスク
さて、ここまで良いことばかり書きましたが、プロとしてリスクもしっかり伝えます。
リスク要因
- 増資(希薄化)のリスク:
研究開発費を賄うために、新株予約権(MSワラント)を発行することが多いです。これは既存の株の価値が薄まるため、株価にとっては下落圧力になります。現在も資金調達の最中です。 - 開発失敗のリスク:
臨床試験で「効果なし」となれば、株価はストップ安レベルで暴落します。バイオ投資は「0か100か」の世界です。
誰におすすめ?
- ❌ おすすめしない人:
「子供の教育資金を安全に増やしたい」「毎年の配当でお小遣いが欲しい」という方。この株は配当も出ませんし、株価が半分になることもザラです。 - ⭕ おすすめする人:
「資産の5%くらいを使って、宝くじより確度の高い夢を買いたい」という方。または、日本の創薬技術を応援したいという方。
戦略としては:
株価が下がってヨコヨコの時期(ニュースがない時期)に少しずつ拾っておき、良いニュースが出て吹き上がった瞬間に利益確定する。長期保有というよりは、イベントドリブン(ニュース待ち)な投資が向いています。
5. まとめ:成長性85点の根拠と将来性評価
成長性スコア:85点
技術力は本物。あとは「時間」と「資金」との戦い。
最後に、私がなぜ85点をつけたのか、その根拠と事業計画の実現性についてまとめます。
成長性評価の根拠(85/100点)
- 技術的優位性 (+40点):
キナーゼ阻害薬の創薬において、カルナバイオの技術は世界レベルです。自社でキナーゼタンパク質を作れるという「ものづくり」の基盤があるため、創薬のスピードと質が担保されています。 - パイプラインの質 (+30点):
ギリアド社との提携継続は大きな安心材料。さらにAS-1763は、既存薬の耐性問題という「医療現場の切実なニーズ」に応えるものであり、市場価値が非常に高いです。 - 事業計画の実現性 (+15点):
創薬支援事業で一定の現金収入があるため、完全な自転車操業ではありません。計画通りに臨床試験が進めば、ライセンスアウトによる黒字化は十分に「実現可能」なシナリオです。 - 減点対象 (-15点):
やはり資金繰りです。開発が進めば進むほど莫大なお金がかかります。大型契約が決まるまでの間の「増資による株価低迷」は避けられないハードルです。
りょーーの結論
カルナバイオサイエンスは、「日本の技術でがんを治す」という壮大な計画を着実に実行している企業です。
目先の株価変動に一喜一憂せず、ニュースリリースの「臨床試験の結果」や「契約の一報」をじっくり待てる投資家にとっては、非常に魅力的な銘柄です。もし投資する場合は、ポートフォリオのスパイス程度に留め、余裕資金で応援することをお勧めします。
この記事が、あなたの投資の視野を広げるきっかけになれば嬉しいです!
※本記事は情報の提供を目的としており、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。また、株主優待や配当等の情報は執筆時点のものであり、変更される可能性があります。