月島 橙子(つきしま とうこ) 16歳 夢塚国際高校2年 身長167センチ。
橙子は電車通学だった。
いつものように電車に乗り込んだ。橙子はいつも一番後ろの車両に乗っていた。
理由は至って簡単。前の方は満員でギュウギュウなのだ。
前に比べて後ろは人は少ない。橙子はドアの前に立ち、電車に揺られながら流れゆく景色をじっと静かに眺めていた。
―――いつもと変わらない世界。
―――少しぐらい変わっている所はあるのか。
そんなことを考えながらボーっとしていた。
『トーコ!』
突然、誰かの声が頭に入った。
―――あぁ、誰か呼んでる・・・。誰の声だっけかな・・・。
『トーコ!!』
その声はだんだん大きくなった。
「トーコってば!!!」
橙子は急に現実に引き戻された。
「ちっ・・・千佳子!?」
同じクラスの若菜 千佳子が橙子の後ろにしかめっ面で立っていた。
「3回も呼んだよー? 立ったまま寝てた?」
「ごめん、起きてたけど気づかなかった」
千佳子は橙子よりも身長が低いので橙子は見下ろす感じになる。
そもそも橙子の身長が高いので、学年全体を見回しても橙子の身長を越す女子はせいぜい2~3人だ。
「千佳子、一人?彼氏クンは?」
千佳子には彼氏がいるのだが、車両内に姿はない。
千佳子は困った顔をして言った。