傲慢と善良/辻村深月 | VIKI(びき)のブログ

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傲慢と善良/辻村深月

 

 

作家生活15周年記念作品として刊行された傑作恋愛ミステリー

 

 

 

『傲慢と善良』特設サイト

 

 

 

 

映画化決定とのことで楽しみではあるけれど、

原作と映像化問題、え?全然違うんですけど問題は常に付きまとう

 

実写映画化、アニメ映画化、映画化、ドラマ化、漫画化

どれだとしても、原作と違う楽しみ方になったとしても

原作者の方が納得されていることを願う

 

 

 

辻村さんは

以前「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」のNHKドラマ化の際に

容認しがたい改変がある、と映像化を断ったことがあるという

 

自分の作品が映像化されることを、「お嫁に出すような気持ち」

と話されていて、自分の作品を大切に思う気持ちが伝わる

(NHKとの裁判で東京地裁はNHKの要求をすべて棄却)

 

 

 

鏡の孤城は、読もうと思って買ったのに先に映画を観に行ってしまい

そのまま今も積読と化している

ので、原作と映画の違いは未だ知らず

読もうよね

 

 

 

タイトルの「傲慢と善良」

現代の結婚が上手くいかない理由は、「傲慢さと善良さ」にあると思い至ったとのこと

 

辻村さんが大好きだという、イギリスのジェーンオースティンという作家の

「高慢と偏見」にインスピレーションを受けたと

こちらも映画化もされたらしい

 

以下動画の中で

辻村さんご自身が語られています

 

 

 

 

 

 

 

◇以下、本の話(ネタバレします)

 

 

 

 

 

途中、何度も繰り返して自分の気持ちや周りの友人の発言や行動を振り返る主人公に

しつこいなーくどいなーとうんざりしたよ

イライラして投げ出しそうになった

 

けど、そんなふうに細かい心の機微にまで思いを巡らせて

都合が悪いことにもしっかり向き合っているから

そうでない自分と比べて

やましいきもちになったんだ

 

 

 

登場人物、特に主要人物2人の名前がいい

西澤架 

坂庭真実

名前だけで物語が動き出しそう 

 

 

 

 

その言葉が彼女らが思っているより何倍もの威力で架を傷つけた

 

言葉は威力がある

 

 

 

皆さん、謙虚だし、自己評価が低い一方で、自己愛の方はとても強いんです。

 

群馬の結婚相談所の小野里が架に言う

 

 

 

大らかな鈍感さを持って、深い考えなしに人と接することができるのはある種の才能のようなものだ。

その才能のある金居のような人は、きっと「家族」に向いている。

 

金居を羨ましいと思う架

 

 

 

その正しさ、好ましさに、けれど、なぜか同時にいたたまれない気持ちを刺激される。

 

金居のようなまっすぐさを持たない架、疎ましくなる

 

 

 

多くを望まないで生きてきて、そうであるがゆえに ”自分がない”と言われてしまう人たち。

 

自分の身なりや車にもこだわりがなさそうな花垣を前に

自分が恥ずかしく、いたたまれなくなる架

 

 

 

「あなたがそうしたい、と強く思わないのだったら、人生はあなたの好きなことだけでいいの。

興味がもてないことは恥ではないから。」

 

「あなたの行動力と語学力が羨ましい」と言ったとき

東京で初めてできた大好きな友達、語学学校の同僚の言葉に何度も救われる真実

 

 

 

世間知らずは、母の方なのだ、と。

 

親離れの瞬間

 

 

 

知ったかぶりを許さない、彼のこの、空気の読めない善良さに。

 

群馬の結婚相談所で紹介された花垣に辟易する真実

善良で真面目な彼

朴念仁(ぼくねんじん)という言葉が浮かぶ

 

 

 

「あんだら、大恋愛なんだな」

 

いたわりでも同情でもなく晴れやかな微笑を浮かべる石母田(いしもだ)

物語の終盤に登場する神社のおばあちゃん

少し毛玉のついたカーディガンを羽織り、花のコサージュがついたニット帽をかぶったおしゃれなおばあちゃん

おばあちゃんのこのひとことが

この物語のクライマックスだと思う

読んでて良かったの瞬間

不意の落涙

 

 

 

 

このあと、丁寧にエピローグまで書かれてるけど

無くても良かったかも

あってもいいけど

 

 

 

 

「ほぼ同期」で「同世代」の辻村深月さんと森見登美彦さんの対談が読める記事

あの!森見登美彦さん!

 

 

 

 

傲慢と偏見の文庫の解説、朝井リョウさんだって

読みたいー