■朝日新聞 2018年9月11日(火) 「埋め立て・・・」
■水俣に関しては有名な故石牟礼道子氏の「言葉の渚」という連載の第3回目です。記者が水俣を実際に歩いてみてのルポ編です。
埋め立てられる前は、大廻りの塘と言われていた、小池というか、湖のようなものの周辺を氏が文章に残しておられるわけです。
戦後すぐまでは、満潮では海水が入ってきていたらしく、エビなどがとれていたということです。
戦後始まった埋め立てを、こう書いておられるそうです。
「この塘一帯はいま、チッソの八幡プール残渣の下に生き埋めのまま、神々とともにあった、ひとびとの壮大な魂の世界は水銀漬けとなり、わたしの村の目前にある」
■うーん、何とも重い語り口ですよね。1987年当時、水銀埋め立ての現場に立った私としては、何とも言えない表現です。当時、ここからヘドロを瓶にいれて持ち帰り、教材として使ったことでした。
小見出しに「思い出の土手 チッソ排出物の下に」というもので、近代文明と引き換えに、古き昔のよき風景をなくしていったということでしょうか。