ちえちゃん(柚希礼音)やめぐめぐ(濱田めぐみ)初め、大変豪華なキャスト陣が顔を揃えるミュージカル、「COME FROM AWAY」大阪公演、4/8(月)と4/14(日)千秋楽を観てきました。
たったの12人が100人くらいの人を演じるノンストップの100分間。さすがに主役級の方々ばかりあって、このキャストだからこそ成し得た作品だと納得しかり。
作品の中でそれぞれの人が決してアクが強いとか私が私がとかが全くなくて、何だ、このカンパニー…色んな意味ですごすぎました。
人は誰もが自分の人生においては主人公である。
だからこそ、このキャスト陣でしか作品としては成り立たないし、それぞれの思い、それぞれの行動、それぞれの明日をまざまざと客席に伝える事が出来ない。
数々の作品で成功してきた、真ん中に立つ人は、きちんと周りも見えていなきゃならない、言葉のキャッチボール、お互いの空気感、そして見えてないところで演じられてる空間、劇場の雰囲気も含めて全てを感じて演じられるからこその“主演”というpostを与えられてきた人達なのですよね。
それを再認識した途端、なんてすごいミュージカルを観れたのだとまた大興奮でした。
安蘭けい
石川 禅
浦井健治
加藤和樹
咲妃みゆ
シルビア・グラブ
田代万里生
橋本さとし
濱田めぐみ
森 公美子
柚希礼音
吉原光夫
9月11日
あの日、世界が停止した。
9月12日
ある小さな町で起きた奇跡の物語。
この物語は私たちに、世界に希望を与えた。
2001年9月11日、ニューヨークで同時多発テロ事件の発生。アメリカの領空が急遽閉鎖された。目的地を失った38機の飛行機と7,000人の乗客・乗員たち。行き場のない38機の飛行機は、カナダのニューファンドランド島のガンダー国際空港に降り立つ。
カナダの小さな町。わずか1万人の人口は一夜にして約2倍となった。人種も出身も様々な人々はこの地でどんな5日間を過ごし、飛びたつのか―
(ホームページよりSTORY引用)
アメリカ🇺🇸を襲った、あの忌まわしい…テロ。
世界を駆け巡ったあの衝撃的な映像は何年経っても褪せる事がない。
あの惨劇の裏ではそれに伴うたくさんの問題が同時に起こっていたわけで…
しばらくこれ飛行機アメリカに着陸出来ないね、どうするんだろうと思いつつも、報道される現地の映像だけが情報としてインプットされるからその裏で起こっている事は想像だにしなかったし知る由もなかったなと当時を振り返ります…
別の場所での緊迫した闘いがあったのだと、いま13年近く経ってようやく知る事が出来ました。
カナダ人のアイリーン・サンコフ、デビッド・ハイン夫妻が2011年9月、再会の為、ガンダーに集まった乗員・乗客、住民に取材をし、そうして書き上げたのが、このミュージカルだそうです。
ただ単にそこで繰り広げられる人間模様だけではない、そこにはたくさんの乗客の命とこれからを預かる機長の闘い、そして何より7,000人を迎えるガンダーの街の人達の闘いが、休むことないそれぞれのセリフ劇で矢継ぎ早に展開されていきます。
椅子などのセッティングなど場面展開は俳優陣がこなしていく。それもすごくリズミカルにスピーディーに。
この瞬間は“とある人”を演じてたかと思えば1秒後にはすぐに別の人を演じている、セリフが伴う時もあれば帽子や羽織物一つで変わる事もあり、そのなんと皆さんの演じ分けの素晴らしい事か。
実話でありながら、5日間の出来事でありながら、セリフ劇でありながら、
主だったる役柄というのはもちろんそれぞれあるわけでそれぞれのその人物の起承転結(いざこざもあり、恋愛もあり、別れ話もあり、差別もあり、ジェンダーな話もあり、ストの話もあり)も短いながらもドラマとして描かれるので作品として観るものを退屈させませんでした。
そして、最後への持っていき方も感動的でした。
それぞれの土地や国に帰って行った人達はそのあとお世話になったガンダーの街に寄付金をし、そして10年後再会の為にガンダーに集まったのですね。
これはブロードウェイで上演された時に紹介された記事です。
↓
「多様なものを認め、他者を受け入れることの大切さ、そして難しさ」とありました。
確かに、この時代にこの作品を上演する意味も考えなくてはならないのかもしれませんが、
難しい事を考えなくても、
世界で起こっている出来事というのは、本当の事を知っておきたい、と心から思います(フェイクニュースや偏向報道に惑わされたくないですが何が本当かってリアルタイムではなかなかわからなかったりもしますよね)。
以下、キャスト別感想です。
こんなキャスト陣の中でもやはりめぐめぐと吉原さんの声の出し方ってすごいなと思いました。
次々と人が代わり(いや、みんなすごいんですよ)発せられるセリフの中でも群を抜いてくる(大声というわけではない)。いつ聞いてもセリフは明瞭、しっかり劇場に全ての言葉が飛んできて張りがあり、私達の身体の細胞全てに心地よく美しく響く…
アメリカン航空初の女性機長役を演じためぐめぐは、「Me and the Sky」というナンバーで
大空と飛行機✈️への愛を歌うのですが、これもほんとに…素晴らしかったです…
(大きなソロナンバーは多分この作品の中でこの一曲だけだったかな??)
浦井くん初め何人かで歌う讃美歌のアレンジの中で、ユダヤ人の牧師さん役かな、吉原さんの“祈り”の歌声も心がすぅーーーーっと洗われるような何度もそこだけ聴きたくなるような歌声が響き渡ってました…
ちえちゃんはオフでも舞台でもじゃりんこちえちちゃん結びかーいとツッコミたくなりましたが、ビューラ役でのセリフ発してないシーンでのくるくる変わる表情が可愛かったです。アイリッシュダンスのシーンは唯一キャスト陣も観客もはっちゃけられる楽しいシーンでしたが、あんなラフすぎるお衣装着ててもバリバリダンスじゃなくてもやっぱりカッコいいんですよね、あの辺の抜け感は、ちえちゃんの足首や膝の使い方とかに秘密があるんだろうなーと見てました。
(セリフのトーンはあの声の高さを求められての事だと思うのですが…とーこさんやシルビアさんやめぐめぐやモリクミさんやゆうみちゃんが自然な地声に近いトーンで発してるだけにちえちゃんも地声に近いトーンのが聞きやすいのになぁと…思いました。ごめんなさい)(過去ログでも何度も言ってますが私はちえちゃんのファンですよ)
とーこさんの存在感もさすがでした。
禅さん演じるニックとの恋愛模様、お酒に酔っちゃうところ、全てが印象に残ります。
ゆうみちゃんは新米アナウンサーのお役どころがなんかピッタリでしたが、…可愛くて好きだけど、ほっそっ(細い)
モリクミさんは、自身の持たれる強烈な明るいイメージの役どころではなかったのですが、やはりインパクトあります。
シルビアさんは、あの日あの時、ストレスを抱えて過ごしてたのは人間だけじゃなかったんだ、こういう人もとても大事でこういう人もいたんだという動物愛護協会のお役でそういう事をあの美貌と特徴ある声で教えてくれました(私はペットを飼ってないので思いつきもしなかったんですよね)。
橋本さんは、うん、なんというかこのカンパニー、さとしさんのお人柄に助けられたところがずいぶんあったんじゃないかと感じました。直接知ってるわけでもお話した事もないんですけど。
禅さんは、ちょっとくたびれた(笑)中年男性を演じるのですが…恋に堕ちるのに国境も境遇もライフスタイルも関係ないんだという心の変化をわかりやすく丁寧に演じられてました
(ニックさんという方のどこに男性としての魅力をダイアンさんは感じたのだろう…自分の事を追いかけて来てくれるほど好きになってくれたところ❓自分の代わりにお魚にキスしてくれたところ❓)。
ずっきー(加藤和樹)は、あまたいる乗客の中でこうやって作品としてキャラ立ちさせるのには一見とても難易度が高いお役だと思うのですが、ずっきーにしてもモリクミさんにしても意外なイメージの配役だからこそ印象に残るというのがあるのかなと思います。
万里生くんは主だったケビンJ.の秘書役より、中東出身の料理長のお役の方がほとんどセリフがないのに印象に残ります。
浦井くんは…、浦井くんでした、いい意味で。表も裏もない、自分の気持ちのまま生きているケビンT.というお役はなんだかそのもの浦井くんのような、そういう意味で。
劇場は大阪の中央郵便局跡地に新しく出来たSKYシアターMBS。
レストラン街や再開の中央郵便局なんかは7月Openなので稼働してる劇場への移動はJR西口直結のエレベーターのみでそれも使用開始時間がありました。
ロビーは全面ガラス張りでとても明るいですが、結構ごった返してたのでもう少し広い方がよいのになぁと。開演前や幕間に飲めるスパークリングもありました。
椅子は座りやすくて傾斜になってる列からはとても見やすい感じでしたが、前列は4列くらいまで??は同じ高さで舞台も高いのでちょっと見にくいです
(他の劇場行く度に思うのですが、宝塚大劇場ほど観やすい劇場はありませんね)
両日とも終演後は、ハービスエントのデリーモへ
4/8はこのあと別件の飲み会、千秋楽のあとは雪組梅芸が入ってたので名物のパフェは我慢しましたーーーー。
公演はこのあと、愛知、福岡、熊本、群馬、と続きます。
全国の沢山の方にぜひとも観てほしいです