私ね、昨日で大台に乗ったんですわ。ええ、記念日ですよ。

 

しっぽりと古アパートの畳の上で、大きめのワイングラス傾けて、香り嗅ぐ間もなくグイッと。

 

一昨日から続く扁桃腺の違和感に緊張感を感じながら、枕を濡らしたのは言うまでもありません。

 

そんな記念日でしたが、ワイン片手にどうしても拭えない別の違和感があったんです。

 

それはね、「子供の成長」ね。

 

ある保護者に言われたんですよ。

 

うちの子供が上手くいかないのは指導者のせい!…要約するとね。

 

あの問題、この問題、その問題、子供が抱えている問題は、全てあなた方のせいですって。

 

あれ、それ、どれ、こっちはお金払ってるんです。

 

はい、ご意見は受け入れます。

 

でもね、建設的じゃなかったかなぁ。

 

選手・保護者・指導者の三位一体で子供を成長させたいんだけども、

 

保護者が子供を守るだけでは、私たちの手ってなかなか届かないんだわ。

 

子供の顔が見えないというか、親が前に立ち過ぎちゃって子供の姿を隠しちゃうのね。

 

言ってみれば、子供の前にフィルターがある状態。

 

子供の声もそこを通って私たちに届けられるから、何も見極められない。

 

親の言いたいことも分かるし、感情も分かる。

 

うちの子供には能力があると思ってるんです。

 

はい、そうですね。私もみんなあると思いますよ・・・。

 

だからこそですけど、余裕を持って欲しいね。そんなに生き急がないでさ。

 

うちの子供に限って良い思いをしないはずがない。

 

ほんの少しの躓きはあるかもしれないけど、すぐに乗り越えちゃうに違いない。

 

困っているのは、何かの問題があるはず。

 

子供への期待が大き過ぎる保護者に見られる部分です。

 

それでも、まぁいいんです。親ですから。

 

私たちは、その中で子供の成長を親と一緒に建設的に考えられればいいんです。

 

親も譲るべき部分はこちらにちゃんと譲り、指導者と一緒に協力しながら育てようと。

 

でもそれがないと、子供を守っているはずが、あらぬ方向へ行っちゃう。

 

だからお互い損しちゃう。

 

子供ってもっと我慢強いんですよ。もっと自立できるんですよ。

 

能力があることを信じられるなら、子供にもっと時間的な余裕と心の余裕を与えなくてはなりません。

 

掴み取るって、簡単でしたっけ?

 

乗り越えるって、簡単でしたっけ?

 

それを上手に教えるのが指導者の役目じゃないか!?

 

そんなに焦ったら、子供が可哀想ですよ。

 

私たちもね、結果だけに捉われてないんです。

 

苦しんでるのも知ってるし、辛そうにしているのも、チグハグになっているのも、全て知ってる。

 

でね、私たちがそこで見つめてあげているもの。

 

それはね、その時のありのままの姿ね。

 

必死になっていたり、もがいていたり、気持ちが下がったり。仲間が支えたり。

 

それをしっかりと見ていてあげるのよ。その期間がどれほどでもね。

 

そのうちね、子供は色んなことから学んで別の姿なんかをちょっとずつ作り出していくんですよ。

 

そうすると、違う悩みなんかが生まれて、前のことなんかを乗り越えてんの忘れちゃうの。

 

ステージを上がったら上がったらで、そこにはまた課題が生まれるからね。

 

だから私たちは、乗り越えていく姿をしっかりと見て記憶してあげるんですよ。

 

それが育成の楽しみでもありますし。

 

親は現場でそういった姿が見れないから残念ですけど。

 

そういった姿を見てあげてきて、子供の今を理解してあげると、成長は飛躍するんですね。

 

なんて言ったて、一緒に乗り越えてきたんですから。

 

私たちにしてみれば、どこにも負けないくらいの誇りある子供ですよ。

 

そこからの成長スピードは速いですよ。

 

もちろん、そういった過程をそれからも幾度となく繰り返すんですが。

 

それは楽しい楽しい日々でございます。

 

ただね、一点だけ前提があります。

 

それは、指導者とサッカー選手という関係。

 

子供はサッカー選手として自立していなければなりません。

 

もしくは、自立を目指している姿でなければなりません。

 

親に守られ続けている子供のままでは成り立たないのです。

 

 

保護者の様々な意見、いくらでも耳を傾けます。

 

三位一体を実現するには、お互いの協力が必要でございます。

 

ワインを飲むのは、もう少し後にしませんか。

 

時々の試飲は欠かせませんが。

 

 

by paris