9月21日、クラブユース新人戦。

記念すべき日とでも言うんでしょうか、これから始まる新チームの奇跡?の始まりですよ。

お手並み拝見という感じですが、ここからどう成長していくんですかね。

奇跡の道と言うからには、これからとんでもないことが起きるのでしょう。

来年までの年月をかけてね。気苦労が多いんだろうなぁ。

だって今、目も当てられないくらいのへなちょこ軍団なんですもの。


と言うことで、今回はその初陣。

とりあえず2年生全員をスタメンに選んであげ、さぁどうぞとベンチ脇で覗いておりました。

いつものようにフワフワした感じで試合に入っていくのかなぁなんて思っておりましたが、

いきなり「絶対勝つぞー!」なんて大声で円陣組みはじめるんです。

あらあら、どうしたの君たち?

一体そのモチベーションはどこから生まれてきたの?


そういえば、試合前にある2年生にこんなことを聞いたんです。

その子は大変メンタルが弱く、前日の練習試合でもプレッシャーに落ちつぶされ大失態の連続。

早々から試合を壊しちゃうんですな。またあたなたね…ってね。

またこれが、チームの悪循環を連鎖させるんだわ。

「今日、君をスタメンに使ったらチームはどうなるんだろう?」

『えっ…』

「だから、君を試合に出したら、君はどんなことが出来るの?」

『僕が試合に出たら…チームは勝ちます!』

「あっそうなのね。じゃあ出すわ。」


会場について驚いたことがもう一つ。

昨日まで骨折からのリハビリで練習を一切していない選手が、まさかのユニホーム姿。

私は何かのパフォーマンスかと思いましたよ。

よくある青春ドラマの“怪我で出れないけど俺もみんなと一緒に戦うぜ!”的な。

「なにしてんの?」

『へっ!? …出ますけど何か?』

「は?」

『ええ、昨日でリハビリ終了なんで僕出ますよ』

「あっそう…。親と医者が良いって言うんだったら出れば。」


円陣といい、あの会話といい、この青春ドラマ。

サッカーに必死になってきてるじゃない。ちょっと恐ろしい。

少しずつ“自分たちのサッカーだ!”という自覚が生まれてきたんですかね。

ようやくサッカー選手のスタートラインに立ったのでしょう。まぁ遅いこと。


そんなわけで、試合の方ですが。

0-6でやられましたよ。圧倒されたという感じですね。

最初の失点なんて、完全に隙を突かれておりました。

本人なりの集中はしていたんでしょうが、集中の質がまだ低いんですね。

他の2年生も、追い付かないし、抜け出せないし、の連続。

まぁ足掻いていましたねぇ。足掻いて足掻いて、足掻きまくってましたね。


試合を終えて彼らに話した第一声は、

「正直、驚きましたねぇ。必死に表現しようとやってたじゃないですか」

怯えてプレーした選手もいませんでしたし、途中でへこたれることなく、最後まで抵抗してましたよ。

これがサッカー選手のあるべき姿でしょうね。

今までの彼らはこれが無かった。心の底からこれが生まれてこなかった。

出来ないことや、ちょっとした難しさに、途端に背中を丸め、不貞腐れていました。


歴代のチームに比べると、とんでもなくスタートラインに立つのが遅かった彼ら。

でもね、スタートラインに立ってからは、どの歴代の選手たちも力強く成長したんですな。

簡単に昇れるような舗装された真っ直ぐな道でもないでしょう。

紆余曲折しながら、時には転げ落ち、また這い上がって、地面を握りしめながらも昇っていくのでしょう。

ようやく、彼らの成長が楽しみになってきました。

最後に一言。

おそっ!!!


by paris