U-10尾瀬遠征では関東圏の強豪と言われるチームが多数来ていたんですね。

子供たちも上手でしたし、サッカーも大人のような進め方も出来ていました。


でもね、驚くのはそこじゃなんですよ。

まずグランドで聞こえてくるのが、指導者の声。

声と言っても、罵声ね。

脅しの指導がそこら中で行われていて、それが当たり前のように繰り広げられているんです。

プレーの問題が起こる度ですから、まぁ留まることがないですよ。

血気盛んな若い指導者だけじゃないんだから。ベテラン勢も中々なものよ。

指導者のイライラが4面のピッチ中に広がって、あっちでもこっちでも罵声罵声罵声。

驚愕というより気分が悪い。

順位が決まってくる2日目なんかもう本当にカオス状態。


そして一番気分を害したのがこれ。

ある子が一人でピッチの横に立ち、大声を出しているんですね。

「おはようございます!こんにちは!こんばんは!ありがとうございます!」

それを数十分も延々と。それを横目にして指導者は自チームをピッチ内でしごきの指導。

時々「聞こえねぇんだよー!」とけん制をし、

「おはようございます!こんにちは!こんばんは!ありがとうございます!」

それに対してそのチームも無反応。

横のベンチに座っている指導者も、大会の主催者も、みんな。

そのチームの保護者も応援に来ているんですよ。

でも保護者がピッチ横で子供たちにこう声をかけていたんです。

「気持ちよ!気持ち!」

これだもん。もうオカシくなっちゃってる。

寄って集って大勢の大人が子供を壊していくよね。


声を出し続ける子供に声を掛けたんです。

「どうした?コーチに怒られちゃったか?」

『ぼく…こえがでてないから…こえだしのれんしゅうしてるんです」

震えた声でどうにかしゃべってくれてるんですよ。

「そうか。でも上のところまで声聞こえたぞ」

『…』

「どんなことがあっても、きっと誰かは見てる、大人はちゃんと見てる」

「いいか、必ず誰かは君のことを見てるんだ」

『…うん』


バカな指導者だ。指導者気取りなだけで、子供のための大人じゃない。

ここにいる彼らはただの裸の王様。

翌日に違うチームが同じことをやらせたのは、本当に情けなかった。

同じようにその子供へ声を掛けると、途端に涙声に。

ほんと愛がない。


たまたまです。

先に挙げたチームの指導者は、優勝を祝う周りの声に、謙遜を装いながら満足そうに話してました。

翌日の指導者は5位の結果に、こいつら下手ですわ。



何が日本のサッカーじゃ!何がプロだ!

強いのが何だ!上手いのが何だ!

凄いね!強いね!上手いね!さすがだね!

裸の王様ばかり。



愛がない。

愛を知らない子供は、愛を与えられない。

信頼がない。

信頼を知らない子供は、信頼を与えられない。

そんな大人になっていく。



by paris