雪の影響により延期となってしまったクラブユース新人戦東北プレーオフ大会。

それならば温かな浜風を受けながら試合でもしましょうかと双葉郡広野町へ。

広野と言えば、福島県サッカーの聖地「Jヴィレッジ」があった場所。

震災以降初めて訪れましたが、高台から見下ろすその景色に未来の足音を感じることが出来ました。

いつかまたあの場所でサッカーをやりたいね。

あの民宿にも泊まって、いつもの夕食に出される焼肉を食べて、朝は海へ散歩して。

指導者は、みんなで飲みながら夜深くまでサッカー談議。

そして、丁寧に整備された芝の上を“最高じゃん!”なんて言いながら駆け回る。

最高だった日々が早く戻ってきて欲しいね。

そんな感慨にふけりながらその風景を見つめておりました。

さて試合の方ですが、期待を大きく裏切りましたね。

何がって、ちょっと時間が経ったら寒風吹き荒れる北風の到来。浜風さんはどこへやらです。

山形のチームも来ていたので、監督さんに「それでもこっちは暖かいでしょ?」って聞いてみると、

「雪がないだけで同じじゃ!」と車に積もった雪を見せながら「ほら見事に溶けない」と。

また高台だからよく風が抜けんるんだ。

選手たちも休憩中は南極のペンギン並みに見事な集合体を作って寒さを耐えておりました。


そんな身も凍る状態で試合をしてきたわけですが、Aチームは非常に良くなってきましたね。

TRの姿がそのまま表れているというか、こうなって当然だろうなと納得してるのが本音です。

プレーぶりも見事なもんです。TRで行っているサッカーの攻防がそのまま表現出来ていました。

イコールになっているんですね。TR=試合。

試合で起こる現象がTRで再現されているので、そのTRで向上させてきた部分がそのまま出てる。

私は見ていて嬉しかったですね。

ここ数週間のTRぶりを見て、正直こうなるだろうなと思っていましたが、

こうなったのも選手たちの協力とそれに向き合う真摯で懸命な姿があったわけで。

TRは嘘をつかないと口酸っぱく言ってますが、正にそのものです。

Aチームには数名の6年生も出しました。

普段のTRでそのAチームに混ざってプレーできていたんですね。

もちろん出来ないことの方が多いですよ。でもAチームの子が、彼を指名するんですよ。

それは、自分たちと同じ熱と同じ懸命さを感じるからだと思います。

試合でも同じようにミスをしましたが、TRで見せてくれる姿のままプレー出来ていました。


ここに入れない選手がいることも事実です。

出来ないことをひた隠し、出来ることだけに頼る。

頑張りますとは言えても、何を頑張るぞとは言えない。

そして、懸命のふりをしている自分もひた隠す。見抜かれているんです。

TRで行っている懸命のふりは、試合でも懸命のふりとして表れます。

そうした子の脆さといったら情けないくらいです。

彼らも頑張ろうとしているのは分かります。でもちょっとしたつまづきで頑張りにヒビが入る。

そのヒビは修復されることなく、瞬く間にあらゆる所からヒビが入り崩壊していきます。

とてもあやうい脆さです。

彼らが“ふり”じゃない自分を作ろうとするのなら、

出来ないことを認めさらけ出し、その上で「何を頑張るか」を言うことです。

「何を頑張るか」を周りに伝えることです。

TRをするとき、試合をするとき、一つだけでいい自分なりの「これを頑張ります」と。


同じサッカーをやっていて、片や日歩の成長を自分に与えながらサッカーを楽しんでいる選手。

片や、出来ないことの露呈に怯え苦しむ日々を歩む選手。

サッカーをTRする理由って、サッカーの新しい楽しさを増大させるためじゃないの。

そのために頑張るんじゃないの。

このチームに存在する二つの姿。

それが光と影になる前に自分をもう一度見つめて欲しいと思います。


by paris