「ほんの少しの歯車」

チームスポーツは、“未来を動かす”歯車の集まりなんだなと思います。

決して形あるものではない、自分たちが作り出す唯一無二の未来なんだと思います。

形も大きさも違う歯車が、自分を動かし、隣を動かし、全体を動かそうとしています。

日毎に変わっていくスピードや大きさ、歪みだって生まれる時もあるでしょう。

自分のいた位置や角度さえも変わってしまうことだって日常かもしれません。

だから何の心配もなく、ただ回り続けていけばスムーズに流れていくなんてことはないんですね。

動いたり、止まったり、隣り合う歯車と音を立てることも、時には逆に動くことも。

だからみんないつだって手探りなんです。

手探りでどうにかしよう、どうにかしたいって。

未来を動かすって簡単じゃない。

でもそれが動いた時って、凄く嬉しいし、凄く心地いい。

同じような形大きさの集まりならば、それはさして難しくないのかもしれません。

手探りだって少ないかもしれません。

でも、です。

あの嬉しいと、あの心地いい、には勝てないよ。

だって動かせたんだもん。手探りで試行錯誤してようやく動かせるようになったんだもん。

動かなかった時間なんて無駄じゃないよ。

それがあったから動かせるように変われたんだから。

潤滑油を注がれるだけの歯車なんかじゃない。

それって、物凄く頼もしい歯車の集まりだよね。


いつ回り出すか分からない。心配になる時もある。

それでも、きっと未来を動かすに決まってるんだ。

だって、今だって手探りの中、懸命にぎこちなくも回り続けてるじゃない。

あとほんの少しだって、自分でも分かってるんだよ。

そんな歯車たちは、いつかきっと動き出す。きっと。

今はその時のために与えられているんだ。

懸命に回ろうとしている歯車がそこにあるのなら、

彼らが作り出す「唯一無二の未来」を楽しみに待ち侘びながら叱咤激励してあげよう。

きっと動かしていくよ、彼らは。



by paris