今日は東文で、春祭《トリイゾ》(演奏会形式)を聴きました。
トリスタン役はスケルトン、イゾルデ役はクリステンセン。
ブランゲーネ役はドノーセ、マルケ王役はゼーリヒ、クルヴェナル役はアイヒェ、メロート役は甲斐さん。
オケはヤノフスキ N響、コンマスはMET管のボウマン。
最高に楽しかった!
今年のベストコンサート候補。
冒頭の金山さんの若い水夫の声はイマイチ。
第1幕第1場のクリステンセンとドノーセは譜面を置いて歌います。
歌は普通で演技も無し。
これなら新国のキンチャ&藤村コンビのほうが良いな。
でも、第2場でアイヒェ、スケルトンが登場すると空気は一変。
アイヒェは譜面を置いて歌いますが、ほぼ見ない。
この人の声は好み。
スケルトンはグールド級の立派な体格。
第一声から期待値MAX。
驚いたのは、スケルトンは譜面無し、暗譜だったこと。
楽譜を見ながら歌う女声2人との差は歴然。
ただ、長丁場のトリスタン、このまま暗譜で最後まで歌うのか。
そこはスケルトン、最後まで最高のトリスタンを聴かせてくれました。
東京オペラシンガーズの合唱も素晴らしい。
第2幕もクリステンセンとドノーセだけの第1場は普通。
第2場でトリスタンとイゾルデが再会し、愛の二重唱を歌い、ブランゲーネの見張り歌と続くところは最高!
スケルトンは美声で声量もあり、繊細な表現にも不足しない。
オケが音量を絞ると、クリステンセン生来の美声が際立つ。
スケルトンとクリステンセンの愛の二重唱は、新国のニャリとキンチャより説得力があり、愛の深さを感じました。
見張り歌を歌ったドノーセはステージに姿が無く、天上から声が降って来たので、上層バルコニーで歌った模様(1階の自席からは確認できす)。
ヤノフスキ N響と一体となった音楽に陶然と聴き惚れました。
更に、第3場のマルケ王のモノローグがまた凄かった。
ゼーリヒは三國連太郎を彷彿させる渋い容貌で、威厳のある声で客席を魅了。
この人も暗譜。
マルケ王になりきり、ホールを完全に支配してました。
第3幕はオケにも面白い工夫が。
第3幕ではE.Hrが活躍しますが、奏者の池田さんはオケの中でなく、上手奥客席寄りで吹きます。
𠮷村さんは第2幕までObトップを吹いてましたが、第3幕で吉井さんに交代したようですが、何かあったのかな。
第2幕までのObは平板でしたが、第3幕に吉井さんに代わると俄然表情豊かに。
池田さんはその後、オケに戻り、池田さんがいた場所にはホルツTpを持った菊本さんがスタンバイ。
第3幕のトリスタンとクルヴェナルの対話~トリスタンのモノローグは新国のニャリ&シリンスも良かったけど、今日のスケルトン&アイヒェには圧倒される思い。
スケルトンは第3幕になっても声の響きが全く落ちない。
本当に凄いパワーだ。
第3場のイゾルデの「愛の死」だけは、クリステンセンも流石に譜面を見ないで歌います。
良かったと思いますが、圧倒的な感動を誘う歌唱ではなかった。
今回は、男声陣(スケルトン、ゼーリヒ、アイヒェ)が凄過ぎました。
カーテンコールではブラボーコールが飛び交い、1階客席は総立ち。
3/30(土)の2日目も聴けるなら聴きに行きたい。