今夜はサントリーで、ヴァイグレ 読響を聴きます。
前半はヒンデミットの《4つの気質》、後半はアイスラーの《ドイツ交響曲》。
ヒンデミット(1895-1963)とアイスラー(1898-1962)は、ほぼ同時代の作曲家。
ヴァイマル共和国時代のモダニズムの洗礼を受け(アイスラーは"11月グループ Novembergruppe"に参加)、反ナチス、反ファシズムという点でも同じ。
それ故に二人共ナチスによって祖国を追われ、亡命を余儀なくされます。
アイスラーの《ドイツ交》は、今夜が日本初演。
ドイツでも滅多に演奏されないということで、貴重な機会。
ヴァイグレ自身、この曲を振るのは2度目とのこと。
《ドイツ交》はブレヒトの詩を用いた、全11楽章1時間超の大作です。
ブレヒトは共産主義の劇作家・詩人。
《ドイツ交》の歌詞にも、階級闘争、搾取、賃上げ、連帯といった言葉が出てきて、時代を感じさせます。
でも、根底にあるのは戦争で抑圧された人々の悲哀であり、現在起きている状況にも通じるものを感じます。
第4曲より:
「かつて祖国に騙されて
忠誠を誓ったのに
祖国から得た報酬は棺桶と
『全ての戦士に故郷を!』の句だけ。」
第7曲より:
「お腹いっぱい食べたいと言う人や、
ましな住居を求める人、
子どもの食料を求める人や、
あらゆる抑圧された人々との
連帯を表明する人、
そんな人たちは今後永遠に
この男のように鉛の棺に入れられて
扇動者として埋められるのだ。」
第8曲より:
「農民よ、立ち上がれ!
銃を手に取れ!
助けなど来ない、
お前が自ら立ち上がるんだ。」
第9曲より:
「皆口々に話していた。
私たちは戦争を始めなきゃいけない
日陰からはおさらばだ、と。
しわがれた声が私たちに出来もせぬことを約束した。
そして丸々肥えた権力者がこう叫ぶ。
気合いを入れてやれよ!
そして私たちは思っていた。今を耐えれば
なんだって手に入るようになる。
でも雨はやっぱり下へ向かって降り続け
私たちは4年間、草を食べ続けたんだ。」
今夜は字幕も出るようです(リンク先は対訳PDF)。
https://yomikyo.or.jp/2023/10/3e4607abf6b5757cfb8fcbd8766f3a968b3f0007.pdf