昨夜は東文小で、郷古さん、加藤さん、横坂さんの室内楽を聴きました。
曲目は、ブロッホ《バール・シェム》より 第2曲「ニーグン」、ショスタコ Vnソナタ op.134、シルヴェストロフ Vnソナタ《追伸》、ショスタコ Pf三2 op.67。
ショスタコ2曲を軸に、ブロッホとシルヴェストロフを組み合わせた、渋いプロ。
それでも、郷古さん目当ての客で会場は満席。
郷古さんは上手いし、カッコいいですからね。
最初の3曲は郷古さんと加藤さん、最後のトリオだけ横坂さんが加わって3人で演奏。
ショスタコVnソナタの後に休憩。
ショスタコVnソナタは、オイストラフ60歳の誕生日を祝うために作曲。
しかし、誕生日を祝う気分は皆無なのが、面白い。
VnもPfも最高難度で、体力の消耗も半端ない。
緩急緩の3楽章、中間の狂気のスケルツォが聴き物。
郷古さんも加藤さんも、火を噴くような演奏。
郷古さんは無窮動で弾き捲り、Pfの譜めくりの女性が第2楽章だけ2回、郷古さんのところに来て譜めくりをします。
その位、強烈な演奏でした。
第3楽章の加藤さんの静謐なPfソロは美しかった。
後半の郷古さんの情熱的なソロ、そこに加藤さんの激烈なPfが加わり、カンタービレへと続くところは感動的。
ショスタコのPf三2も良い演奏でした。
この曲は、親友ソレルチンスキーに捧げた鎮魂歌。
横坂さんのハーモニクスの高音ソロで始まり、そこに郷古さんが低音で加わり、最後に加藤さんが加わります。
普通ならVn、Vc、Pfと重ねるところ、VnとVcを逆転させて、Vnに低音、Vcに高音を弾かせるところが変わってる。
横坂さんのハーモニクスが美しく、始まりからいきなり引き込まれました。
中間部でVnとVcが同じテンポで刻む中、Pfが歌うところもとても良い。
第3楽章ではPfが通奏低音のように重苦しい和音を弾き、VnとVcが切なく歌います。
切れ目なく、第4楽章へ。
その冒頭でPfがリズムを刻む中、Vn、Vcがピッツィカート、やがてPfがユダヤ音楽風の歌を先導。
第1楽章の裏返しのようなアイディアが面白い。
3人とも上手く、息もピッタリ。
ユダヤ音楽風の歌はダンスのようでもあり、一説には大戦中のユダヤ人収容所で墓穴を掘らされ、そこで無理やり踊らされている人々を描いているとも。
郷古さんは「理不尽に自由を奪われてきた全ての人々のために」演奏するとツイートしてましたが、その思いが伝わるよう。
後半の最初に弾いた、シルヴェストロフ Vnソナタ《追伸》。
シルヴェストロフはキーウ生まれのウクライナ人作曲家。
生では初めて聴きます。
第2楽章の甘美なメロは、ショスタコの間に挟んで聴くと味わい一入。