昨夜はサントリーで、上岡 読響を聴きました。
席替えしてのシーズン初日。
席環境は上々で一安心。
肝心の演奏は、上岡節炸裂で楽しかった!
1曲目はウェーベルン《6つの小品》。
1928年改訂版。
上岡さんは純音楽として、響きに拘った演奏。
第1曲から死を予感させる不穏な空気が流れますが、隠された標題は敢えて無視。
凄いと思ったのは、第3曲の打楽器。
上岡さんといえば弱音ですが、この日は音にもならない微弱な空気振動を要求。
それに応える読響の打楽器セクションが凄い。
上岡さんの変態ぶりもここまで極まったかと驚いた。
2曲目はベルク《ヴォツェック》から3つの断章。
マリー役の森谷さんは、舞台後方、オケの後ろで歌います。
第1曲と第2曲はどうしても歌に注意が行きますが、後方で歌ったためか、ベルクの美しいオーケストレーションも堪能。
森谷さんは第1曲の子守歌は優しく、第2曲の哀れな境遇を嘆くところは激しく歌います。
第3曲は通常と異なり、子供たちが日本語でオペラの終場を再現する上岡版(?)。
子供たち(マリーの子供を含む)は、TOKYO FM 少年合唱団のメンバー6人。
子供が日本語で台詞を言うのは、権代《子守歌》と同じ。
権代ほどのインパクトは無いですが、子供たちが無邪気に「君のママが死んでるよ!」、「(死体を)見に行こう!」と言うのは残酷で胸に迫る。
ただ、マリーが原語で歌い、子供たちが日本語というのは違和感はありました。
最後の曲は、ツェムリンスキー《人魚姫》。
上岡さんは動機(モティーフ)を意識して、16型のオケにたっぷりと歌わせます。
曲がよくできていることもありますが、声の無いオペラを聴いているよう。
ラストの救済の動機が美しかった。
上岡さんが振ると、面白いんだけど、細部への拘りが目立って、感銘度薄めになりがち。
昨日も前半の2曲はそんな感じでしたけど、《人魚姫》にはちょっと感動しました。