昨夜はパレスで、新国オペラ《オランダ人》を観ました。
ワーグナーのオペラでは、一番短い作品。
それでも上演時間3時間(休憩込み)、終演22時。
楽しかった!
こんな時期でも、会場は結構埋まってました。
ピットには、デスピノーサと東響。
第1幕は音楽が停滞気味に感じましたが、第2幕以降は良くなった印象。
歌手は第1幕ではダーラント役の妻屋さんが一人奮闘。
舵手役の鈴木さんは声量不足で、「望郷の歌」にはガッカリ。
オランダ人役の河野さんは、ブリテン《夏の夜の夢》のパック役を好演したバス。
オランダ人役は本来バス・バリトンが歌う役(バス・バリトンのキャリア・ゴールとも)なので、今回は異例。
これが裏目。
妻屋さん演じるダーラントもバスなので、声質が被る。
しかも、河野さんは籠ったような声で、ドイツ語の発音も不明瞭。
第1幕の長大なアリアにはモヤモヤ。
ひびのこづえの衣装も東洋風で、船長というより諸葛孔明みたいで違和感。
第1幕は妻屋さんと新国合唱団によって救われた感じ。
休憩を挟んで第2幕。
第1幕は男声のみでステージも暗く地味。
それが第2幕では一変。
女声合唱の「糸つむぎの合唱」が楽しい。
歌手もゼンタ役の田崎さんとマリー役の山下さんが登場。
ゼンタ役を演じる田崎さんが素晴らしい!
声は美しく響き、声量も十分。
高音も絶叫調にならず、聴き易い。
トランス状態にあり、ちょっと怖いゼンタ。
田崎さんは良い意味で、緊張感をもたらしてくれました。
「ゼンタのバラード」でステージが一気に引き締まり、客席も集中。
エリック役の城さんも良く通る美声で、「夢語り」を歌います。
フィナーレでのゼンタとオランダ人の二重唱。
Wバスと違い、ソプラノとバスのためか、河野さんの歌唱もまずまず。
第2幕は田崎さんの一人舞台という感じ。
田崎さんに触発されてか、オケにも俄然推進力が戻った印象。
第2幕はあっという間でした。
第3幕は合唱が主役。
「水夫の合唱」に続き、オランダ船から聞こえる不気味な合唱。
オランダ船の合唱は録音だったのが、残念。
オランダ人の河野さんは、第3幕が一番良かった。
でも、田崎さんの前では影が薄いかな。
最後はゼンタがオランダ船に乗り込んで投身して、オランダ人の魂も浄化されます。
愛の死による救済は正にワーグナーですが、音楽的なカタルシスは今一つ。
カーテンコールで一番拍手が大きかったのは、やっぱり田崎さん。
次に妻屋さん。
コロナ禍の《オランダ人》、観に行って良かったです。
無事に楽日まで完走して欲しい。
楽日の2/6にもう一度観る予定。
初日よりも更に良くなっている筈。