昨日、ストラの《ミューズを率いるアポロ》について書きました。
新古典主義の作品では、《アポロ》も好きですが、《オルフェウス》も好き。
オルフェウス(オルフェオ)が毒蛇に咬まれて死んだ妻エウリディーチェを連れ戻すため、冥界に行くという有名なエピソードを音化した作品。
冥界の王は連れ帰ることを許しますが、地上に出るまで、エウリディーチェの姿を振り返ってはならぬと命じます。
しかし、オルフェウスはこの禁則を破ってしまいます。
するとエウリディーチェは地獄に消え、失意のオルフェウスは独り地上に戻ります。
最後は、オルフェウスがバッコ(バッカス)の女性信者達(バッカンテ)に八つ裂きにされて終わり。
2017年12月、グルックの《オルフェオとエウリディーチェ》を聴きました。
オペラでは結末が変更され、オルフェウスは八つ裂きにされず、エウリディーチェが甦ってハッピーエンド。
一方、ストラの《オルフェウス》はオリジナルに忠実。
ファンファーレが神意を告げると、バッカンテがオルフェウスを襲撃し、八つ裂きにします。
ストラはこの場面を容赦なく音化しています。
この音楽が激烈で、新古典主義時代のストラが《春祭》の頃に戻ったかのよう。
もちろん、《春祭》と比べると、ずっと抑制的ではありますが。
非常に面白い作品なのに、滅多に演奏されないのが残念。
ストラ没後50年の今年は無理ですが、生誕140年の来年に期待したいです。
ちなみに、オルフェウスは神ではなく、「人間」ということになってます。
正確には、詩の女神(ミューザ)カリオペと、トラキア王の間に生まれたので、「半神半人」です。
カリオペは、《ミュ-ズを率いるアポロ》の中にも出て来ますね。
実の父親はアポロ(アポッロ)で、トラキア王に預けられたという説も。
もしそうなら、オルフェウスは半神半人ではなく、神そのものということになりますが、真相や如何に。
動画で八つ裂きのシーンは、25分過ぎから。