昨日はパレスで、新国オペラ《ワルキューレ》を観ました。
招聘歌手は日本にいたクプファー=ラデツキーと藤村さん以外、全員日本人歌手に交代。
ジークムント役がなかなか決まらず、村上さんと秋谷さんの二人一役という奇手。
オケは規模を縮小したアッバス版。
期待より不安が大きかったけど、楽しかった!
第1幕はジークムント役の村上さんが、歌唱、演技とも今一つ。
Wälse! Wälse!と叫ぶところは、高音が伸びない。
Notung! Notung!も迫力不足。
長大な台詞も怪しい。
でも、最後まで歌い切りました。
ジークリンデ役の小林さんがパワフルな歌唱で、第1幕を牽引した感。
第2幕の第1場は、ヴォータンとフリッカの夫婦喧嘩。
ヴォータン役のクプファー=ラデツキーも良かったけど、フリッカ役の藤村さんが圧巻。
ブリュンヒルデ役の池田さんは登場早々、ホヨトーホ!
第2場のヴォータンの長大な語りも、飽きさせない。
第3場でもう一人のジークムント役 秋谷さんが登場。
初めて聴きますが、上手い!
多分、秋谷さんがカヴァー歌手だったのでしょう。
ジークリンデとのやり取りも、第1幕では小林さんの勢いに村上さんが押され気味でしたが、小林さんと秋谷さんのコンビはバランスが良い。
二人一役だとどうしても比べてしまいますが、結果は歴然。
第1幕も秋谷さんで聴きたかったです。
第4場はジークムントのジークリンデへの決死の愛に、ブリュンヒルデの心が揺れ、翻意する場面。
ここは池田さんの表現が平板で、やや説得力に欠ける印象。
第5場はジークムントとフンディングの決闘の場面。
ブリュンヒルデが命令に背いたため、ヴォータン自らフンディングに加勢。
ジークムントが倒れると、ヴォータンはジークムントを抱えながら、フンディングにGeh! Geh!と言います。
何とも矛盾した二律背反的な状況ですが、クプファー=ラデツキーの演技には説得力があります。
第2幕には大いに満足しました。
第3幕の舞台はブリュンヒルデの岩山ですが、舞台は誘導灯が点いた滑走路のよう。
そこに8人のワルキューレが白い布に包まれた獲物(死体)と共に登場。
受胎告知の場面でのジークリンデの歌、小林さんはここでも見事な歌唱。
最大の聴きものは、ヴォータンとブリュンヒルデが対峙する場面。
池田さんの真摯な問い掛けが、胸を打ちます。
ヴォータンがブリュンヒルデと別れる件は、泣けます。
クプファー=ラデツキーは、本当に上手い!
ブリュンヒルデの周囲を炎が燃え立ち、一気に《神々の黄昏》の世界にワープ。
こういうところが、《指環》の醍醐味。
観る前は不安もあったけど、最後は満足感で一杯。
これなら、何度でも観たくなります。
ピットの大野 東響も、尻上がりに良くなった。
2日目以降、もっと良くなる筈。
来週3/17にもう一度観ます。