今日は東文で、二期会《タンホイザー》B組を観ました。
4時間があっという間で、楽しかった!
ヴァイグレ 読響が初日以上に雄弁。
B組の歌手はタンホイザーに芹澤さん、ヴォルフラムに清水さん、ヴェーヌスに池田さん、エリーザベトに竹多さん。
第1幕は池田さんの独壇場といった感。
池田ヴェーヌスの怒りは、ブリュンヒルデを彷彿させる迫力。
第1幕が《神々の黄昏》第3幕第3場を観てるかのよう。
もちろん、怒りだけじゃない。
ここでのヴェーヌスの歌詞は、(本日のウィーン版と)ドレスデン版とは大きく異なります。
「愛しい人に赦しを与える歓びも奪われるのか」という台詞は、ウィーン版だけ。
そして、自分のことを「愛の女王」、「慈しみの女神」と呼んでいて、官能の女神とは違う造形。
何だか、ヴェーヌスがエリーザベトの鏡像のように思えました。
タンホイザー役の芹澤さんは、今回が初ワーグナー、初タイトルロールとのこと。
初日のような我慢大会にならなかったのは、幸い。
良くいえば、タンホイザーの奔放性、異質性を際立たせる歌唱だったかも。
第2幕では、エリーザベトの竹多さんがよく通る美声で聴かせます。
パワフルで芯の強さを感じさせる歌唱は、ヴェーヌスとの共通性を印象付けるもの。
第2幕の終盤、エリーザベトが騎士たちに「下がりなさい!あなた達に彼(タンホイザー)を裁く資格はない!」と決然と言うところは、ハンガリー王女らしい気品がありました。
大行進曲に合わせて、客人が続々入場する場面は、壮麗なスペクタクル。
ただ、ウォーナーの演出がちょっと変わってる。
ト書きには騎士たちが貴婦人を伴って入場とありますが、先ず、白いドレスの女性たちが先に入場。
続いて、国民服のようなモノトーンの衣装の騎士たちが入場。
この場面は共産主義国家の祝典を連想させます。
ヴェーヌスベルクは自由主義国家で、密かにヴェーヌスベルクを訪れて自由を知ったタンホイザーは、ヴァルトブルクにとって危険極まりない人物ということか。
ウォーナーの演出については、別途書きたいと思います。
第3幕は初日も一番良かったけど、今日も聴き応え十分。
「エリーザベトの祈り」は、竹多さんがインタビューで話していた拘りのアリア。
エリーザベトの気持ちが、確り伝わりました。
清水さんが歌うヴォルフラムの「夕星の歌」、美しかった。
芹澤さんの長大な「ローマ語り」も大健闘。
最後は巡礼の大合唱が輝かしく鳴り響き、カタルシスを感じながら、終演。
千秋楽公演とあって、カーテンコールでは出演者全員に大きな拍手が送られました。
皆さん、優しい。
でも、やっぱりヴァイグレ 読響は別格。
ヴァイグレがステージに登場すると、嵐のような拍手に包まれました。
緞帳が何度も上下し、最後は客席はスタンディングで拍手。