昨夜はヤマハホールで、脇園さんのリサイタルを聴きました。
2/15のブログに書いた通り、nCoV市中感染リスクに鑑みて、当分コンサートは減らすつもり。
昨夜も行くか迷いましたけど、脇園さんのリサイタルはどうしても聴きたかった。
前半は仏語歌唱でアーン3曲とベルリ《夏の夜》、後半は伊語歌唱でロッシーニの歌劇とカンタータ。
伴奏はスカラ座でコレペを務める、ミケーレ・デリーア(Michele D' Elia)。
後半は若手クラ奏者のエットレ・ビアジ(Ettore Biagi)も登壇。
素晴らしかった!
脇園さんは前半は譜面あり、後半は暗譜での歌唱。
1曲目から、脇園さんの緻密で美しい声とスケールの大きい歌唱に感動。
アーンも良かったけど、ベルリ《夏の夜》の歌唱が情熱的で心に迫ります。
《夏の夜》は「ヴィラネル」、「バラの精」、「入り江のほとり(漁師の嘆き)」、「君なくて」、「墓地にて」、「未知なる島」の全5曲。
以前聴いた、カレン・カーギルがオケ伴で歌った《夏の歌》は、表情過多、ヴィブラートたっぷり。
その点、脇園さんは高音の伸びもアジリタの響きも、堪らなく美しい。
情感を籠めた歌唱も過剰にならず、品格があります。
欲を言えば、オケ伴で聴きたかった。
いつか、RSの《4つの最後の歌》も歌って欲しいです。
後半は、オール・ロッシーニ。
《マホメット2世》より「正義の神よ、これはなんという責め苦」、《オテッロ》より「柳の歌・祈り」、《セミラーミデ》より「ああ、絶えずあの日を思い出す」、《ジョヴァンナ・ダルコ》(ジャンヌ・ダルク)の4曲。
全て脇園さんが歌うのかと思ったら、《マホメット2世》と《セミラーミデ》のアリアは、ビアジのクラとデリーアのピアノの器楽版(ビアジ編)で、ちょっとガッカリ。
でも、このビアジがなかなかの曲者で、滅茶楽しい!
正に歌うクラリネットです。
脇園さんが歌ったのは、《オテッロ》の「柳の歌・祈り」(Ms&Cl&Pf版)と、《ジョヴァンナ・ダルコ》。
どちらも暗譜で、完全に役になり切った歌唱。
「柳の歌・祈り」は死を予感したデズモーナが歌うアリアで、哀切が胸に迫ります。
《ジョヴァンナ・ダルコ》は難曲ですが、脇園さんの歌唱は完璧。
“Presto un brando, marciamo pungnando. Viva il Re, la vittoria e con me.”と輝かしく歌い終えると、会場は熱狂的な拍手。
もちろん、これで終わりではありません。
アンコール大会!
プーランク《メタモルフォーズ》より第2曲「あなたはこんなふう」、ロッシーニ《セビリアの理髪師》より「今の歌声は」、ビゼー《カルメン》より「セギディーリャ」、トスティ《別れの歌》。
「今の歌声は」は、脇園さん、ビアジ、デリーアの小芝居付き特別版。
締めはしっとりと《別れの歌》。
nCoV感染拡大という大変な状況で、脇園さん、よくぞ歌ってくれました。
きっと色々な思いがあったと思います。
ビアジとデリーアの二人も、来日してくれて感謝しかありません。
忘れられないリサイタルになりました。