東証の前でふと想うこと | 下町風来坊の備忘録

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東東京下町在住のオッサン。食べ歩きや旅、ワンコの話題など、たわいもない日常やその時々に思うことを、童心で馬鹿正直に、また今の社会や風潮に対する心情を、ぼんやり本音でつぶやいてます。

前回の続き・・・人形町から所用のある日本橋に行く途中、兜町の東京証券取引所前を通り掛かり。

 

最近のマーケットで、個人的にちょっと気になることが

 

日銀総裁のゼロ金利解除方針を思わせる発言を受けて、

 

為替市場や株式市場は乱高下しながらも、日経平均株価は3万4千円をうかがう展開、もはや歴史的な高水準の株価に、多くの国民からは日本経済の実態から、かなり乖離していると思われがちのようですが・・・。

まぁ一般的に、日本経済はぼんやり不況が続いているイメージですが、実は上場企業など大手企業は何気に結構、業績好調な企業が多く、特に円安メリットを享受している電気・精密機器、自動車・造船などの輸出産業はもちろん、海運、鉄鋼・非鉄金属、総合商社などは、もはや空前の好決算、更にコロナ禍明けで飲食業やホテル・観光業、百貨店など、大手の内需産業も好調に転じ、不況に喘ぐ多くの中小企業との二極化がますます顕著になっているのが現状、ただそれは個人の家計でも同じこと、日本だけでなく世界的に、好業績企業とそうでない企業の格差が更に広がり、お金持ちとそうでない人、つまり貧富の差がますます拡大、結果これまで大部分を占めていた、いわゆる中流層が壊滅という、実に嫌な世の中になりそうです。

 

 

個人的に最近のマーケットで注目しているのが、主にPBR(株価純資産倍率)1倍を大幅に下回っている企業が経営方針を転換、中期計画の中で、特に配当性向を大幅に引き上げる企業が増えてきている点。

PBR1倍割れ企業とは、あくまで表面的にですが、時価総額が解散価値より低い状況、つまり経営資源(株主資本)を有効に生かしていない企業、そんな企業が東証から直々に、経営方針の転換や更なる努力を求められています。

ちなみにPBRを上げるということは、すなわち自社の株価を上げること、自社の株価を上げるには、もちろん業績を向上させることですが、手っ取り早いのは自社株買いや、魅力的な株主優待制度を導入という奇策もありますが、最も有効なのが株主への配当率を大幅に引き上げること。

 

 

ところでキッシー政権は、資産所得倍増プランという公約を掲げていますが、これは2023年を資産所得倍増元年と位置付け、貯蓄から投資へシフトするよう促すことにより、国民の資産を増やそうという計画、更に優遇措置が拡大された新しいNISA口座の推進などが典型ですが、もちろんその公約のために、政府としても株価を上昇させることには積極的。

一見、投資をしている人、または投資を始めようとしている人には朗報ですが、この資産倍増計画の裏には、グローバリストによる思惑があり、実は東証に上場する企業の株式、約70%を保有しているのがグローバリストの外国人、配当性向の引上げや更なる株価上昇で、最も恩恵を受けるのは彼ら、つまりこれもキッシー政権による税金の海外ばら撒き同様、日本資産海外流出の一環だと思われ。

一方、90年バブル崩壊以降、基本的に日本の企業は、銀行による貸し渋り・貸し剥がしの経験から、もはや銀行を信頼しなくなったため、なるべく借入金には頼らず、何があってもいいように、本来ならば株主への配当金や従業員への昇給に充てる利益分を、長期間できるだけ内部留保として貯めて来たわけで、その膨大に積み上がった各企業の内部留保を、そして多くの国民が貯めこんでいる、約2121兆円とも言われる預貯金やタンス預金をマーケットに吐き出させ、それを虎視眈々と狙っているのがグローバル外資なんですよ。

 

こうした政府や東証の方針、または外資株主の要望に従って、配当性向を上げる企業が増えた一方、ならばと系列会社によるTOB(株式公開買付)やMBO(経営陣による株式公開買付)で、株式を非公開化する企業の増加傾向にも注目。

 

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大正製薬HDが国内最大7,100億円のMBOで非上場へSM事業の営業体制 ...

 

株式を上場している以上、政府や東証の意向には逆らえず、更に実質上位株主の外国人から、経営や配当性向に口を挟まれるくらいなら、いっそのこと非上場にしてしまおうということ。

まぁ株主や投資家にとってはそれはそれで、TOBやMBOを行う際の引受株価には、それなりのプレミアムが付与されるので、もちろん悪い話ではありません。

 

我が街・錦糸町を代表する上場企業・東京楽天地は、親会社・東宝によるTOBで完全子会社化・いずれ上場廃止に

東京楽天地 - Wikipedia

 

そんなことで、外資の思惑があるとしても、国民にとって、当面の投資環境は一見悪くはなさそうですが、仮に今後の株価が順調に上昇し、日経平均株価が史上最高値を付け、かつての90年代バブル期のように投資ブームが到来、普段はまるで投資に縁がなさそうな方々まで市場に参加するようになった時が天井、グローバリスト外国人にとって絶好の撤退タイミング、その後は世界的なリセッションに長期の景気低迷、株価暴落、個人的にはそんなイメージが朧げに浮かびます。

ただ、真面目に働くだけでは個人資産を増やすことがむずかしい今の時代、リスク覚悟でうまく立ち回れば、キッシー政権が表面的に掲げるように、資産を倍増させる唯一のチャンスなのかもしれませんが、注意が必要だと思います。