一昨日の5月30日、木曜日。
朝から仕事が慌ただしく、車での信号待ちのとき携帯のツイッターをチェック。
安田記念に向けての追い切り当日だったし、なにげなく検索してみたら目を疑うような文字が。
その後公式HPでフィフスペトルの死を目の当たりに。
あまりにも突然に目の前から姿を消し、天国へと旅立ってしまった元愛馬フィフスペトル。
まだ現実として受け入れられない部分もあるのですが、
私としては一番思い出の多い愛馬でしたし、記録としてずっと残しておきたいと思い記事を書くことにしました。
ライラックレーンの06
キャロットクラブで2007年に募集された牡馬です。
父キングカメハメハの初年度産駒として注目を集める一方、当時は今ほど会員数が多くなかったこともあり翌年春まで満口になりませんでした。
丸みを帯びた筋肉質の好馬体。
今は退職されたんですが、当時からことあるたびに募集馬の相談をしていたキャロットクラブのYさんの薦めもあり出資を決意。
育成も順調に進み、2歳7月にデビュー。
鞍上はスーパールーキー三浦皇成。
調教の動きも良く、一番人気で迎えたメイクデビュー函館。
見事人気に応え新馬勝ちをおさめてくれました。
そして重賞・函館2歳S。
三浦皇成騎手にとっても、キングカメハメハ産駒としても、
そしてワタシにとっても念願の重賞制覇を果たしてくれました。
あのときの感動、高揚感は一生忘れることが出来ません。
休みを挟んで迎えた3戦目は京王杯2歳S。
小雨模様のなか初めて会ったフィフスペトルは力強く、贔屓目にも素晴らしい競走馬に見えました。
勝ち馬に逃げ切りを許しましたがしっかり2着を確保。
暮れのG1朝日杯に向けて希望が広がるレースだったと思います。
そしていよいよ2歳王者決定戦・朝日杯FS。
重賞ウィナー、3戦2勝2着1回とほぼパーフェクトな成績ながらも距離延長が嫌われてか5番人気の低評価。
レース前はドキドキしながらも、自分自身としてはかなり自信があったような気がします。
ルメールを背に中団を追走。
直線に向き外に持ち出されるとルメールが若干手綱を引く場面もあるなか矢のような伸び。
一瞬勝ったか、と思いましたがセイウンワンダー岩田が内をつく好騎乗もありアタマ差2着。
ゴール板前では絶叫するというより、踏ん張って声も出せないような感じでした。
明けて3歳クラシック。
弥生賞かスプリングSか、三浦皇成騎手・河野元調教師との確執などもあり、やきもきさせられたのを覚えています。
スプリングSは武豊騎手を背にアンライバルドの3着。
距離不安を囁かれながら、休み明けとしては充分すぎる内容でした。
そしてクラシック初戦・皐月賞。
安藤勝ジョッキーに乗り替わっての一戦。
朝日杯以来会ったフィフスペトルはやはり素晴らしく、かっこいい馬でした。
後方から内を進んだフィフスペトルはじりじりと伸びるも7着まで。
次走NHKマイルカップは5着。
惜しい競馬はするもののG1ではちょっと足りないレースが続きます。
そして一口を始めた当初からひとつの夢でもあり目標でもあった日本ダービー出走。
ダービーウィークの月曜日からそわそわして落ち着かなかったのを覚えています。
朝早く山梨を出発して決戦の地・東京競馬場へ。
突然の豪雨、バケツをひっくり返したような土砂降りの中でのレース。
結果は11着と奮いませんでしたが、ダービー出走という大きな夢を実現させてくれたことが本当に嬉しかったです。
3歳秋、スワンS→マイルCS→ファイナルSと勝てないレースが続きましたが、
明けて4歳春・東風Sで待望の3勝目をあげます。
次走ダービー卿CS4着のあと山元TCへ放牧。
そして安田記念へ向けての調整中にアクシデント。
左前脚管骨の骨折という大けがを負い、ボルトを埋め込む大手術。
約1年の休養を余儀なくされます。
1年後の5歳6月、夏至Sを逃げ切り余勢を駆って挑んだ京成杯AHで待望の重賞2勝目。
スプリンターズS6着のあとのマイルCS。
エイシンアポロンにクビ差届かず惜しくも2着。
そのあと勝ち鞍を上げることはできませんでしたが、
大レースで常に全力を発揮するフィフスペトルが僕の生き甲斐でもありました。
現役生活も終盤に差しかかった7歳春。
安田記念に向けての最終追い切り。
ウッドチップコース残り1ハロンのところで大きくバランスを崩し故障発生。
手の施しようがないような状態だったらしく、安楽死処分がとられました。
加藤先生や担当厩務員さんも苦渋の決断だったことでしょう。
苦しむフィフスペトルをとてもじゃないけど見ていられなかったんだと思います。
公式での加藤先生のコメント
「楽をさせてあげることにしました」
に全ての思いがこめられているんじゃないかと。
本当に痛くて辛くて苦しんだんだと思います。
関係者の皆様のことを思うと今でも胸が張り裂けそうな気持ちになります。
フィフスペトルはこの世を去りました。
もう彼の走る姿を見ることはできません。
でも、でもこれからも僕の心の中には永遠に生き続けています。
歯を食いしばって懸命に走るフィフスの姿が今でも脳裏に蘇ってきます。
彼の残した思い出、楽しみや喜び、そして悲しみや苦しさ。
そういった全てのものから目を背けずにこれからも競馬と向き合っていかなければ。
フィフスペトルよ安らかに。