2月2日(土)、野菜ソムリエとその友達の11名、神崎町の酒蔵の寺田本家蔵見学会に参加しましたので、報告します。

 

9時30分JR成田駅に集合し、成田発銚子行きの電車に乗り込み出発。3駅、20分程度乗車して、神崎駅で下車。2日前に降った雪が日陰に残り、寒かったのですが、天気に恵まれ、楽しいツアーになりそうです!

 

本日の旅程は、まず「月の豆腐」店に寄って豆腐を購入、その後、神崎神社を参拝、そして寺田本家での蔵見学と試飲、買い物。最後に、発酵暮らし研究所&うふふカフェにて「発酵ランチ」です。

 

最初の立ち寄り先、地元の自然栽培の大豆を使った豆腐でとても人気のある「月の豆腐」店。10時半に到着した時点で、既に、豆腐は売り切れで買えませんでした。その人気の程が伺えます。来年のツアーでは、事前の電話予約が必須です。

 

豆腐が買えなかったことを残念に思いつつ、一行は寺田本家の裏山に鎮座する「神崎神社」に。各自、参拝し、そして境内にある国指定天然記念物の「なんじゃもんじゃ」の木を観賞。明治期に落雷で消失したクスノキですが、今は、ひこばえが育って、巨木になっています。植物、樹木の生命のエネルギーを感じさせる「なんじゃもんじゃ」の木でした!

今回のツアーの目玉の寺田本家蔵見学の受付を済ませて、暫し、休憩。11時30分、蔵見学者の全員が揃い、蔵見学の開始です。昨年、一昨年の蔵見学会では、寺田本家の当主の寺田優さんが案内してくれましたが、今回は寺田本家蔵人の大野さん。

 

見学会では、酒造りの工程の最初から最後まで一通り、見学することができました。主な工程は以下の通り。

 

(1)麹造り

最初に、精米された米を洗って、それを蒸して「蒸米」をつくります。寺田本家で使う米は、主に地元の自然栽培の無農薬米です。蒸した米は麹室に運ばれて、自社の田んぼの稲穂から採取して稲麹菌から培養した種麹を振り掛けて、丹念な温度管理、水分管理を経て、米麹が出来上がります。試食した麹はほんのりと甘みがありました。
米を洗う水ももろみを仕込むのも、神崎神社のある裏山に降った水や利根川の伏流水を井戸から汲み上げた水を使っています。また、麹室では、室の床、壁の全面を炭で覆って磁場を整えているとのことです。

 

(2)生酛(きもと)造り

次の工程は酒造りのスターターとなる酒母(酛)。麹に蒸米と水を加え、もろみの発酵を促す酒母を育てます。それらを桶に入れて、櫂で擦り混ぜていきます。その際、蔵人がペアを組んで、酛擦り唄を歌いながら、リズムよく、擦っているとのことです。唄は1番から15番まであり、酛の様子を見ながら、何番まで歌うか決めるそうです。こういうお世話を経て、蔵内に生息する硝酸還元菌や乳酸菌、酵母が入り込んで、1ヶ月以上の時間をかけて、酒母が出来上がります。

 

寺田本家酛擦り唄

https://www.youtube.com/watch?v=vBq7jTx6PoM

 

(3)もろみ造り

麹と酛がそろうと、いよいよ日本酒造りの本番、もろみ造りの工程です。酒母に麹、蒸米、水を加えて原酒となるもろみを30日以上かけて発酵させていきます。仕込みは、「初添」、「中添」、「留添」の3回に分ける「三段仕込み」。3回に分けることで、徐々に酒母の育成の場を広げていくことで酒母の優位性を保ち雑菌の繁殖を抑えることができます。

もろみの中では麹が蒸米を徐々に糖化しながら、その糖を餌に酒母が発酵してアルコールを生成します。糖化と発酵を同時に行う「並行複発酵」と言われ、世界的に珍しい醸造法です。

(4)搾り

仕込みを終えたもろみは搾って新酒(生原酒)と酒粕に分けます。搾りたての生酒は琥珀色で発酵の際に出た炭酸ガスが残りしゅわしゅわした口当たりが新鮮で、麹の香りも強く残っています。

生原酒は、必要に応じて、火入れ、割り水(水を加える)をして、そして、酸味、甘み、アルコール度数などバランスの取れた味わいになるまで蔵で熟成、貯蔵します。

 

蔵見学の後は、お楽しみの試飲。寺田本家の代表的な7種類のお酒を試飲しました。各自、好みのお酒を見つけて、試飲の後、販売コーナーで、購入。販売コーナーには、日本酒の他、各種の酒粕や、酒粕で漬けた漬物もありました。また、発酵をテーマにした、寺田本家当主の奥さん執筆の料理本もあり、何人かは本も買われてました。きっと、料理本のレシピを参考にて、酒粕料理でも作るのでしょう。

試飲の後、最後のお楽しみは「発酵ランチ」。コンクリート造りの元アパートを改装した「発酵暮らし研究所」併設の「うふふカフェ」にて、発酵ランチを頂きました。ランチには、買えなかった「月の豆腐」もありました。皆、美味しく残さず頂きました。

 

 

 

 

ランチを終えたのはほぼ2時半。JR銚子線は1時間に1本しかないローカル線、3時6分の電車に乗るべき、参加者の皆さん、足早に寺田本家を後にして神崎駅に向かうのでした。

 

今回、残念ながら参加できなかった皆さん、朗報です。来年も、また、「寺田本家蔵見学大人の遠足」を開催する予定です!じっくり見学できるよう、平日、開催になるかもしれませんが、その際にはスケジュール調整してくださいね(仕事を休んででも見学する価値があります!)。

野菜ソムリエコミュニティちば事務局 野菜ソムリエ 落合 修