「盆の夕に吹く風」
盆の夕に吹く風は
遠く遠く夏の彼方から
流れてくる
三途の川なのです
その流れの中に
体を浸せば
普段分かたれた
死が
それほど恐れるべきことでなく
それほど不快なものではなく
私たちはこの流れを泳ぐ
一匹の魚なのだと
分かるでしょう
願いようで
祈りのような
我々を分かつものはなにもなく
大きなものの一つなのだと
理解し
なお疑いながら
覚悟し
自由に
逍遥できることでしょう
盆の夕に吹く風は
宇宙の大海に誘う歌なのです