獣医を目指す者として知っておきたいKEY WORD | 獣医専門予備校VET公式ブログ

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<酪農学園大学獣医学類 過去5年間の小論文の課題一覧>

2014:野生動物による農業被害に獣医師としてどのように関与するか / 温室効果ガスに家畜が及ぼす影響

2013:あなたが目指す獣医師像 / 医療(人医療,獣医寮共に含む)
に貢献
する基礎研究に関する設問

2012:獣医師を目指す動機 / 狂犬病についての設問

2011:獣医師を目指すあなたの抱負 / 薬剤耐性菌についての設問

2010:獣医師を目指すあなたの抱負 / 養鶏場における鳥インフルエンザの予防策に関する設問


このように獣医学部入試ではその時に話題となっている社会問題のKEY WORDを扱う傾向にあります。

そのKEY WORDを本ブログで少しずつ紹介していこうと思います。

今回のテーマは「動物由来感染症(人獣共通感染症)」です

なぜこのテーマを選んだのかといいますと

獣医さんは動物を治療しますが,お客さんは「人」です

ですから大学側も「人と動物の関わり」に関するテーマを受験生に投げかけます

それは大学が将来私たち人間の社会に貢献できる人材を求めている証拠なのです

◆動物由来感染症とは?



動物由来感染症とは、動物からうつる病気のことをいい、英語ではズーノーシス(zoonosis)といいます

獣医学の教科書や農林水産省用語では"人獣共通感染症"とか"人畜共通感染症"と呼ばれています

報道などでよく耳にする"動物由来感染症"とは厚生労働省用語でヒトを中心に考えた呼び名で、動物からうつるヒトの病気という意味合いがあります

逆にヒトから動物にうつる感染症もあるので、それを表現する場合には、"ヒト由来動物感染症"と呼ばなくてはいけませんので、少々こんがりますね

正しい表現にすると"ヒトと動物の共通感染症"が正しいということになります


◆どこから感染するの?

様々な感染ルートの中からいくつか紹介したいと思います

①家畜・畜産から


◆食の安全の崩壊(KEY WORD)
食のグローバル化は、安全神話をたやすく崩壊させました。交通網の発達していない昔は、商品はその鮮度の保てる範囲でしか、移動できませんでした。唯一穀類のみが海を越えることが出来る食品でした。生鮮食料品のほとんどは、隣町や遠くても隣の地域からと、目に見える範囲から運ばれてきました。
1996年の大腸菌O-157の集団発生にはじまり、2001年の大手メーカーの牛乳製造過程の汚染、牛海綿状脳症(BSE)に関する不正、2002年には産地偽称など安全とされていた食品業界の不正が次々表面に出てきました。
日本において食品は、疑いなく口に出来るものと信じられてきました。
しかし、共通感染症と食中毒がからみあい、その上、企業の不正が働き、安全神話が崩れました。
牛海綿状脳症(BSE)が大騒ぎになった2001年秋にNさんが真剣なまなざしで相談に訪れました。Nさんは5歳のペルシャ猫を飼育しています。『先生!ヨーロッパでは猫の海綿状脳症が出ているってテレビで出ていましたけど、家のルビーちゃんは大丈夫でしょうか?』 さて、困りました。牛海綿状脳症は(BSE)、生前診断は出来ません。症状が出てからわかるのです。ルビーちゃんの脳を取り出して検査しなければいけないので、その旨を伝えて少しでも安心してもらうために、今まで食べていたキャットフードが汚染国からのものか調べることにしました。さすが、Nさんは全てを猫の家計簿に記入していたのです。そこからが大変です。家計簿から会社をひろって、全てに調査依頼を出したのです。幸いほとんどの原材料がアメリカ産とオーストラリア産の肉を使用していたので、確立は限りなくゼロです。それを伝えると、安心していました。
このように家畜を介しての共通感染症は、生きた家畜からうつる場合と畜産物になって食品として感染する場合とに分けられます。共通する点は、どちらも消費者の目に見えにくいところで起こるということです。
ウシから感染するクリプトスポリジウムは、仔ウシにひどい下痢を起こさせ感染力の強さからまたたく間に拡がります。汚染された糞便は河川に流れ込み、上水施設を汚染させます。このクリプトスポリジウムは水道水の消毒をする際の塩素で死滅しないことから、水源が汚染されると水道水を飲んだヒトに集団で発生します。ほんのコップ一杯の水でも感染するのです。上水施設が汚染されると、清浄化に多大な費用がかかり、経済的な打撃を受けます。
ブタが蚊によって感染する日本脳炎は、ブタの体内で増えたウイルスが再度、蚊を介してヒトに感染します。感染を断ち切るためには感染源のブタにワクチンを接種し、感染源を小さくすると共にヒトにもワクチンを接種し、万が一の事態を回避します。このため日本脳炎患者は激減しました。
今まで日本には存在しないといわれたE型肝炎は、原因不明で死亡したヒトの劇症肝炎の患者から見つかりました。同時にブタからも見つかりましたが、ブタからヒトに感染したかどうかは不明で、現在調査中です。ブタでは、仔豚に感染しますが、成長するにつれてほとんどが治り、食肉に供する時期には問題ないといわれています。
ニワトリのサルモネラ症は卵の食中毒として1980年頃から死亡者がでて問題になっていましたが、1999年頃よりワクチン接種する養鶏場が増えて感染者が減少してきました。しかし、ワクチン接種が卵のコストに跳ね返るため、全羽へのワクチン接種にはいたっていません。
イラスト牛海綿状脳症(BSE)は2001年から全頭検査を行っています。18万頭も感染したウシが出たヨーロッパでは終息に向けてやっと兆しが見えてきました。
このように、食に関する環境は手放しで安心できる状況にはいたっていません、消費者は、食の安全を確保するために監視の目を緩めないようにしなければいけません。 また、我々獣医師は動物の健康管理を行い消費者へ安全な畜産物の提供を行うようにしなければなりません

②輸入動物から


日本はいつから輸入動物大国となったのだろう?
昭和40年代は、ペットショップと言えば、文鳥、十姉妹、インコ、金魚、メダカ、グッピーぐらいだったように記憶しています。それがいつの間にやら、ハリネズミ、大型オウム、チンチラ、古代魚、ヘラクレスオオカブトムシなど昔は動物園で見たような生き物が売られています。
バブルの影響が動物界にも押し寄せてきたのですね。今ではもう、規制なく世界のほとんどの動物を買うことが出来ます。
アメリカや中国、イギリス、フランスなどは自国の生態系を守るため商業用動物の輸入を禁止しています。特にオーストラリアは個人用ペットの輸入にも厳しい規制をかけて事実上、輸入出来ないようにしています。気候のよいハワイでも、ペットが逃げて繁殖しないように細心の注意を払っているようです。
どうして日本だけが時代に逆行しているのでしょうか?
答えは簡単です、買う(飼う)人がいるから、売る人がいるのです。

③人から


動物たちはいつも加害者ではありません、ヒトと動物の共通感染症ですから、ヒトが動物にうつす場合だってあるのです。
こういう考えは、一昔前まではありませんでした。ヒト医療を中心に廻っていて、動物からうつされることはっても、ヒトから動物にうつして問題になるなんて。
毎年冬場になるとインフルエンザが流行ります。何万人も感染し、学級閉鎖で学校が機能しない時もあります。そのインフルエンザに感染する動物がいます。それはフェレットです。毎年冬になると、カゼを引いたフェレットが来院します。そして、話を聞くと家族もカゼを引いています。ワクチンメーカーではインフルエンザワクチンの開発に実験動物としてフェレットを用いるぐらいフェレットはよく感染するのです。
フェレットもヒトと同じように鼻水を出したり、くしゃみをします。あかちゃんのフェレットでは命を落とすこともあります。
ヒトのインフルエンザも、フェレットのインフルエンザも空気感染するのは知られていると思いますが、他にも感染経路があります。それは接触感染です。電車などに乗って、吊革などからうつるのです。意外に思うかもしれませんが、この接触感染の経路は、今重要視されています
だから、インフルエンザが流行ったら、マスクしたからと言って、安心してはいけません。帰ったら、手を洗い、うがいする事です。それで、フェレットにうつすリスクを減らせます。

◆予防するには?



一番大切なことは感染しないこと、病原体に触れないことです。

その侵入経路を考えてみましょう。

感染の原因で一番多いのは、口から入る感染です。
口から入るためには、病原体が空気中を浮遊してもよいし、飲み水に混入してもいいし、食物の中にあってもいいのです、また、物に付着した病原体をなめてたまたま体の中に入ってしまうことだってあります。
病原体は目に見えないことがほとんどですので、目で確認して口に入れることは出来ません。
食事を介したり、水を介したりする病原体が熱に弱い場合は、煮沸消毒をしたり、高温下で調理をしたりして病原体を死滅させます。疑わしきは口にせずが原則です。

次ぎに多いのは、吸っての感染です。
空気といっしょに病原体を吸い込む、クシャミやセキの飛沫(しぶき)を吸い込むなどです。呼吸器からの感染は、いっぺんに多くの感染を起こすことが出来るので集団発生につながります。また呼吸を止める訳には行かないので、マスクなどの予防を行いますが、完全な方法ではありません。

皮膚を通しての感染もヒトと動物の共通感染症には多くあります。
直接、皮膚を食い破って侵入する寄生虫や、ダニやノミ、蚊などのように吸血性の動物に刺される、別の原因で傷を作って、たまたまその傷口から侵入する病原体などがあります。昆虫類は虫除け剤などを使用して、防御しますし、皮膚を食い破る寄生虫は、長靴を使用するか、手袋を使用するかで防御できます。

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