窓の外から診療室を覗いてる、一人の子供を連れた、二人の女性がいる。ニコニコして私を見ている。
しばらくして、診療室に入ってきて「先生しばらく、ちっとも変わっていない、懐かしい、私、子供の時来たんだよ」と周りを眺めていた。私のことでなく、部屋が変わっていない事を言ったのである。
「何年前くらいにいらしたの」と私が言うと 「小学生だったよ 、ねこを拾って、お母さんが飼っていけないと言ったので、ここに連れてきたんだよ。そしたら先生がお母さんに電話してくれて、飼えることになって、あの時は嬉しかった。」「 あっそう 今そのねこはどうしてる」と聞くと「お母さんが、もうお父さんより大事シロちゃんと言ってお母さんと暮らしてるの」
話を聞いている内に彼女の子供の時の顔が段々浮かんできた。子供の時は小さくて細くて、目がくりくりして少しえくぼ出て恥ずかしそうに話す子供であった。今はくりくりした目と少し恥ずかしそうに話すのは変わらないけど、体格の良い女性になっていた。彼女のお母さんから彼女が中学生になった時、猫を飼ってやって本当によっかったという話を聞いた。
彼女が学校で友達とうまくいかなく、少し学校を休んだ、その時 彼女は、毎日猫を撫でてたりしていたが、猫が怪我をしてその看病をしているうちに、自分から学校に行き始めた。お母さんは彼女が猫を拾ったとき、彼女に猫を捨てて来いと言ったのに、私から電話が来て びっくりした。少しなんてことをしてくれると思ったのだそうだ。
「ところで今日はどうしたの」
「私は子供の時は猫飼ったけど、子供には犬を飼ってやったの、だから健康診断して予防注射して貰らおうと思って、覚えてる?お母さんに、あの時言ったのを」 「??」 「一生懸命にお母さん猫を育ててやって、といったよ、私だから、この子と一緒に犬を育てようと思うの」 「私そんなこといったんだ、貴女また良く覚えていたのね」「お母さんと先生怖かったもの」
なんだか今日は嬉しい日になった。軟弱な私の胃の調子もだいぶよくなりそうだ。