↑眼窩 鼻腔内リンパ腫が5年以上寛解していちごちゃん
私たちの動物病院は、がん治療にアルテスネイトという薬も使っています。
今日は、アルテスネイトについてお話します。
●なぜ、アルテスネイトに抗がん作用があるか?
がん細胞は、正常な細胞より鉄イオンが多く含まれています。
それを利用した薬がアルテスネイトです。
アルテスネイトはその鉄イオンと反応して、フリーラジカルを発生します。
アルテスネイトが投与されると、がん細胞が選択的に障害を受け、消滅するのです。
●アルテスネイトを効果的に使うために
このがん細胞の性質を利用してアルテスネイトを投与する前に鉄を投与して、がん細胞内の鉄の量を増やしておくと、抗腫瘍作用を増強することができます。
がん細胞内に鉄が多くあるのに比べ、正常細胞はあまり鉄を含んでいません。したがってアルテスネイトは、がん細胞に比較的特異的に細胞障害作用を示します。
●アルテスネイトの抗腫瘍作用
アルテスネイトの抗腫瘍作用のメカニズムは、がん細胞内でフリーラジカルの産生を増やし、酸化ストレスを高めて、がん細胞に細胞死(アポトーシスや壊死)を引き起こすのが基本です。
・腫瘍組織の血管新生を阻害する作用
・細胞外の結合組織を分解する酵素の活性を阻害することによってがん細胞の転移と浸潤を抑制する作用
などの効果があります。
抗がん剤のように副作用がほとんどなく使えます。