【メラノーマ】人と犬のがんに共通した転移メカニズムを発見した 悪性黒色腫の治療につながる世界初 | まねき猫ホスピタル院長 獣医師・石井万寿美 ペットのいる暮らし

まねき猫ホスピタル院長 獣医師・石井万寿美 ペットのいる暮らし

小動物臨床をしている獣医師です。書くことが好きで本も書いています。自分の勉強したことを伝えて、少しでも世の中に還元できれば、こんな嬉しいことはありません。

 

メタノーマ(悪性黒色腫)は犬の口腔内に見られるがんです。

 

東大で以下のようなことが発表されました。

 

以下は人と犬のがんに共通した転移メカニズムを発見した ――悪性黒色腫の治療につながる世界初の発見―― | 東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部 (u-tokyo.ac.jp)

からもらっています。

 

 

  • 人と犬の粘膜に発生する悪性黒色腫において、ポドプラニン(PDPN)と呼ばれる膜タンパク質が高発現している患者の予後が短いことを発見しました。
  • PDPNによりアメーバのように自由自在に形を変えることで正常細胞の隙間をくぐり抜けられる転移能の高い細胞(アメーバ様遊走細胞)を生み出していることを明らかにしました。
  • 本成果はPDPNが人と犬の悪性黒色腫に共通した転移メカニズムを制御しており、新たな治療標的として有望であることを示すとともに、人の悪性黒色腫と共通性を有する犬の悪性黒色腫が、がん研究において重要な位置付けを有すること示した貴重な研究成果です。

PDPNは正常組織との境界部で腫瘍細胞のアメーバ様遊走を誘起し、腫瘍細胞の増殖・浸潤能を亢進し、転移を促進する。

 

 

私が興味を持った点は以下です。

 

高齢化に伴い悪性腫瘍は人間の主要な死亡原因となっていますが、野生動物や家畜における悪性腫瘍の発生は散発的に認められる程度です。一方、人間と古来より生活をともにしてきた伴侶犬は、食餌や生活環境、獣医療の発展に伴い、人間と同様に長寿化し、悪性腫瘍が主要な死亡原因となっています。

 

つまり、ワンコさまは、人と暮らすようになり、長寿になったけれど、人と同じようながんになってきたということです。長寿になってきたワンコさま、気をつきたいものです。

毎日、歯磨きをして口腔内をチェックしてあげましょう。