【腎不全】の処方食を考える 高リン血症ってなになのか? #腎不全#食事療法#高リン血症 | まねき猫ホスピタル院長 獣医師・石井万寿美 ペットのいる暮らし

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小動物臨床をしている獣医師です。書くことが好きで本も書いています。自分の勉強したことを伝えて、少しでも世の中に還元できれば、こんな嬉しいことはありません。

猫さまは、腎不全の子は多いと思います。

治療の一環として、腎不全の処方食をすすめられます。

 

そのひとつの原因に、腎不全の子は、高リン血症になりやすいからです。

今日は、高リン血症について考えましょう。

 

●高リン血症とは

血清リン濃度が5mg/dL(1.46mmol/L)(検査機関によって多少違います)を上回った状態です。

 

 

●原因

・慢性腎臓病

腎臓からのリン排泄の減少して、進行した腎機能不全では、リン排泄が著しく抑制されて血清リン濃度が上昇します。

 

・副甲状腺機能低下症

・低カルシウム血症

 

上記以外には、過剰なリンの経口投与やときにリン含有浣腸薬の過度の使用に伴って生じる可能性もあります。

 

●高リン血症の病態生理

高リン血症を放置しておくと, 腎臓病や副甲状腺機能亢進症になりやすいです。

高リン血症は,慢性腎臓病患者において,血清中のカルシウム濃度とリン濃度の積が慢性的に5を上回ることもあります。

 

そうなると、軟部組織へのカルシウム沈着につながる可能性があるので、カルシウムとリンの積が慢性的に上昇した場合は,血管石灰化も起こる;この血管石灰化は, 脳卒中, 心筋梗塞,および跛行などの心血管系合併症になることもあります。

 

●高リン血症の治療

 

・リン制限

・リン吸着剤

慢性腎臓病患の治療の中心はリンの摂取制限であり,これは通常,リンを多量に含有する食物を避けます。ペットフードのリン含有が少なめものにしてください。

 

そのために、腎臓食の処方食は低リンになっているので、これを食べることになるのです。、

 

●まとめ

高リン血症の一般的な原因は,進行した腎機能不全であり,副甲状腺機能低下症などの原因としてそれほど一般的ではないです、

 

最近は、FGF23(線維芽細胞増殖因子23)というリンとカルシウム代謝異常を早く取られることができる血液検査の項目ができました。