■がん 口に黒い腫瘍 レーザー蒸散で免疫誘導 何故スチールメスがダメなのか? #フランキンセンス | まねき猫ホスピタル院長 獣医師・石井万寿美 ペットのいる暮らし

まねき猫ホスピタル院長 獣医師・石井万寿美 ペットのいる暮らし

小動物臨床をしている獣医師です。書くことが好きで本も書いています。自分の勉強したことを伝えて、少しでも世の中に還元できれば、こんな嬉しいことはありません。

↑ 口にマッチ棒大の黒腫瘍

 

 

 

 

 

 

↑ レーザーで蒸散(処置後)
 
飼い主さんが、口に黒いイボのようなものがあるということで、来院。
*マッチ棒大の黒い腫瘍
*口臭なし。
*よだれなし。
 
●治療法
*鎮静をかけて
*レーザーで蒸散
*エタノールとフランキンセンスの局注
 
3時間、お預かりして帰宅。
 
こんな小さな腫瘍を見つける飼い主さんの意識の高さに脱帽。
 
病理検査を出しているので、またここでご報告させていただきます。
 
もし悪性であってもこんな小さい腫瘍だと、寛解するのも短い時間で出来ますね。

●何故、レーザー蒸散がいいのか?スチールメスでは何故いけないのか。
 
写真を見ていただくと、処置後に黒くなっています。つまり腫瘍の破片があるわけです。
その破片が抗原提示になります。つまり樹状細胞の役割をするのです。レーザーが。
 
みなさんもご存知のように、「がん細胞」は、樹状細胞が活性化しないように、不活させるのです。でもレーザー蒸散がその役目をしてくれるので、こんな素晴らしいことはありません。この破片を取り除かないことが、ポイントです。
 
破片があると、毎日、免疫細胞(好中球、キラーT細胞)に働くように手紙が配達されるので、免疫細胞が正しく動くわけです。
 
それで、私たちの治療法は抗がん剤を使わないでも寛解に持っていける子もいるので。
(全員ではないですが)
 
 
免疫細胞の仕組みを使って、がんを寛解させましょうね。