我が家の書棚から 船舶・鉄道の事故に関して | 艦艇・船舶つれづれ

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旧帝国海軍および海上自衛隊の艦艇、海上保安庁の船艇、主に戦前の民間船舶を中心としたブログです。
「海軍艦艇つれづれ」からタイトルを変更しました。

先日、梅田の紀伊国屋書店で次の書籍を購入しました。

 

「光人社NF文庫」シリーズの「知られざる世界の海難事件」という書籍です。

光人社NF文庫で艦船関係の書籍を多数出版されている大内健二氏の著作で、2022年12月18日の初版発行となっています。最新刊ですね。

 

「知られざる世界の海難事件」

 

P.216-217「海外で起きた海難事件 20 無人で発見された小型船ジョイタ」の一節

 

日本国内で起こった海難事故・事件16例、海外で起こったもの26例が読みやすい文体で簡潔に記載れています。

まだ、海外の8例目までしか読めてないので、来週の通勤時に読み切ってしまおうと思っています。

 

同じような内容の書籍で、「交通ブックス」というシリーズの「海難の世界史」という書籍もあります。

これも、大内健二氏の著作で、2002年1月に成山堂書店から刊行されています。

 

「海難の世界史」

 

こちらは、「知られざる世界の海難事件」と比較し、古代から現代にかけての航海の変遷とそれに伴う海難の変遷が前半分、20世紀に起きた海難事故の10例が後半分となっており、より体系的な内容となっています。

 

P.32-33「第二章 第二節 中世の海難」の一節

 

続いて、「海難の世界史」と同じく「交通ブックス」シリーズの「青函連絡船 洞爺丸転覆の謎」という書籍です。

青函連絡船の航海士から国鉄本社の船舶局次長を歴任された田中正吾氏の著作で、1997年3月の発刊です。

 

「鉄道連絡船 洞爺丸転覆の謎」

 

戦後の青函連絡船の状況から、台風による事故発生の状況、原因究明、対策と青函連絡船の復興と、かなり詳しく記載されています。

 

P.106-107「第四章 台風が去って 国鉄職員の苦衷」の一節

 

交通に関する事故の書籍としては、他に鉄道事故の書籍も書棚に数冊あります。

 

まずは「事故の鉄道史 正・続」の2冊を紹介します。

2冊ともに鉄道史学会に所属されている佐々木冨泰氏と網谷りょういち氏の共作で、日本経済評論社から「正」が1993年1月、「続」が1995年11月に発刊されています。

 

「事故の鉄道史」(左)と「続 事故の鉄道史」(右)

 

「正」の方は、三河島事故を除き大東亜戦争前から戦中にかけての重大な鉄道事故12例を取り上げ、事故の状況、原因、対策が、著者の意見も交えながらかなり詳しく記載されています。

「続」も論調は「正」と同じで13例の鉄道事故が取り上げられていますが、うち8件が戦後の事故で、私も覚えている山陰線餘部鉄橋からの列車転落事故も取り上げられています。

 

P.86-87「第5話 来ないはずの列車 参宮線・粉砕された木造客車」の一節

 

続いて「鉄道重大事故の歴史」という書籍です。

国鉄の車両畑で仕事をされ、小倉工場長で退職された久保田博氏の著作で、2000年6月にグランプリ出版から発刊されています。

 

「鉄道重大事故の歴史」

 

鉄道創業期から現代までを11の時代に分け、国内・海外の主要な鉄道事故を1ページに2・3件程度の分量で、簡潔に事故の内容・原因・対策等をまとめたもので、鉄道事故の変遷と対策の歴史を体系的に知ることができます。

 

P.92-93「7 国鉄発足期 7-2国鉄発足期の重大事故」の一節

 

続いて、日本鉄道運転協会の著作で「重大運転事故記録・資料(復刻版)」です。

平成17年4月に日本鉄道運転協会から発刊された書籍の復刻版で、追補され再版されたものです。

 

「重大運転事故記録・資料(復刻版)」

 

明治5年の鉄道開業から、国鉄分割民営化までの国有鉄道の事故記録679件と、地方鉄道:軌道の事故記録の一覧表、それに追補として国鉄民営化後のJR・民鉄の事故記録78件が網羅されており、鉄道事故の百科事典とでもいえるような書籍です。

ただ、この書籍は発刊当時に梅田にあった旭屋書店・梅田本店の鉄道書籍コーナーで見つけたもので、自費出版的な書籍のため、あまり一般に出回っていないようです。

 

P.224-225「三河島事故」の一節

 

最後は、少々毛色の変わった書籍を。

回答する記者団の佐藤裕一氏の著作で、つげ書房新社より2011年7月に発刊された「鉄道人身事故データブック2002-2009」という書籍です。

 

「鉄道人身事故データブック2002-2009」

 

2002年から2009年にかけての、鉄道路線別の人身事故件数、駅別の事故発生日と概況、事故原因、当事者の年齢・性別、路線別の分布などの分析、当時の大阪市営地下鉄における損害賠償額・振替輸送精算額などが記載されており、若干生々しい内容ですが鉄道業界の方が傾向などを見ると「なるほど」と思えるような内容だと思います。

 

P.116-117「2 駅別事故概要 「と」の部」の一節

 

船舶にしろ鉄道にしろ、悲惨な事故は発生しない方が良いに決まっています。

しかし、現在の「安全」は、これまでの重大事故から得た教訓に基づく対策の積み重ねで築かれているとこが良くわかります。

 

私は、ケーブルテレビの「ナショナルジオグラフィック・チャンネル」で「メーデー! 航空機事故の真実と真相」という番組をよく見ています。

1回に1件の航空機事故の内容と原因究明、対策に至る過程を1時間の番組にまとめられており、すでにシーズン20を数え約200件の事故が取り上げられました。

 

私も陸運業界の片隅にいる一人として、1件1件の事故の原因と対策について、それぞれ考えさせられ、これらの書籍は仕事をする上での「バイブル」のような存在です。