サノヤス・ドックの巡視船「すずか(PL-68)」 | 艦艇・船舶つれづれ

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旧帝国海軍および海上自衛隊の艦艇、海上保安庁の船艇、主に戦前の民間船舶を中心としたブログです。
「海軍艦艇つれづれ」からタイトルを変更しました。

今日の午前中、久しぶりにサノヤス造船に行ってみました。いつもの防波堤のような木津川の堤防に登って対岸のサノヤスのドックを望みます。

残念ながら接岸した船はありませんでしたが、No.1ドックに巡視船が。

 

 

写真が斜めに写ってます…。

堤防のの手前の坂で、スケボーで遊んでいる若者が4人ほどいましたので、早々に引き揚げました。

 

船の名が分からないので、帰ってネットの情報と「Marine Traffic」で見てみると、「すずか(PL-68)」のようです。

 

 

「Marine Traffic」の画面

 

巡視船「すずか(PL-68)」は、「はてるま」型と呼ばれる1,000トン型の巡視船です。

「はてるま」型は、平成16年3月に中国人活動家が魚釣島に不法上陸した際に、巡視船による規制に失敗し上陸を許してしまった経験から、より多くの搭載艇を備え、ヘリコプターや巡視艇への補給拠点としても使える大型巡視船として整備されることになった1,000トン型の「拠点機能強化型巡視船」です。

 

「すずか(PL-68)」は、「はてるま」平成19年度計画により三井造船玉野事業所で建造され、平成22年3月に竣工し、第四管区の尾鷲に配属されています。

【要目】

 総トン数:1,300トン、船質:軽合金、全長:89.4m、最大幅:11.0m、深さ:5.0m

 機関:ディーゼル×4、推進:ウォータージェット×4、乗員:30名

 速力:約30ノット、兵装:30mm単装機銃×1

 ※引用:世界の艦船、No.933、2020年10月、海人社、P.57

 

巡視船「すずか(PL-68)」

(引用:尾鷲海上保安部HP;https://www.kaiho.mlit.go.jp/04kanku/owase/

 

「すずか」には先代「すずか(PL-119)」が存在しており、「しれとこ」型の19番船として金指造船所豊橋工場で昭和55年3月に竣工し、第四管区の尾鷲に配属されています。

【要目】

 総トン数:965トン、常備排水量:1,200トン、船質:鋼、全長:77.8m、最大幅:9.6m、深さ:5.3m

 機関:ディーゼル×2、推進軸:2軸、最大登場人員:40名

 速力:20ノット、兵装:40mm単装機銃×1、20mm単装機銃×1

 ※引用:世界の艦船「海上保安庁全船艇史」増刊第62集、No.613、2003年7月、海人社、P.144

 

巡視船「すずか(PL-119)」

(引用:世界の艦船、No.335、1984年5月、海人社、P.5)

 

「すずか(PL-119)」は、二代目「すずか(PL-68)」と入れ替わりで、平成22年2月に退役しています。

 

帝国海軍には「鈴鹿」の名を持った艦艇は存在しません。ただ、写真「日本の軍艦 第8艦 軽巡1」光人社、1990年3月、P.199 の二等巡洋艦「由良」の写真説明に「ちなみに、本艦には最初、鈴鹿という艦名が予定されていたが、後に由良と変更された」との記述があります。

 

二等巡洋艦「由良」(引用:Wikipedia)

(Maybe Imperial Japanese Navy. - 呉市海事歴史科学館/編『日本海軍艦艇写真集 巡洋艦』ダイヤモンド社、2005、165頁、写真No.070419。, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=59816246による)

 

なぜ「鈴鹿」が「由良」に変更されたかは不明です。もしかしたら二等巡洋艦「鈴鹿」が誕生していたかもしれませんね。