大阪市西成区・サノヤス造船にて 漁業取締船「照洋丸」と掃海特務艇建造の歴史 | 艦艇・船舶つれづれ

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旧帝国海軍および海上自衛隊の艦艇、海上保安庁の船艇、主に戦前の民間船舶を中心としたブログです。
「海軍艦艇つれづれ」からタイトルを変更しました。

本日は昨日と打って変わって良い天気です。このため、全く密にならない場所へ少しお出かけを。

大阪市大正区南恩加島4丁目へ行ってきました。なぜそんな場所かというと、対岸に「サノヤス造船株式会社 大阪製造所」が見えるからです。本日はどんな船が見えるのか。

 

残念ながら海上保安庁の船艇はいませんでしたが、水産庁の漁業取締船「照洋丸(しょうようまる)」が接岸していました。

 

令和2年5月17日・サノヤス造船に係留中の水産庁漁業取締船「照洋丸」

 

水産庁のHPによると、「照洋丸」は日本鋼管で建造され平成10年5月に竣工した漁業取締船で、定繋港は東京となっています。

【要目】

 総トン数:2,183トン、国際総トン数:2,553トン、全長:87.60m、最大幅:14.00m、深さ7.25m

 機関:ディーゼル×2/推進電動機×1、推進軸:1軸

 出力:6,000馬力、最大速力:18.75ノット、航海速力:16ノット、搭載人員:49名

 ※出典:Wikipedia

 

水産庁のHPによると、「照洋丸」は外洋域の水産物資源および海洋環境の調査を行うための大型漁業調査船として建造されました。

しかし近年、日本周辺水域では外国漁船等による違法操業が絶えず、巧妙化・悪質化・広域化していることから、平成26年度に「照洋丸」の調査機器を撤去し、最新鋭の取締装備等を設置することで漁業取締船に転用された、とのことです。

 

「照洋丸」の主な装備は、フィンスタビライザー及びアンチローリングタンク、電光掲示板、監視カメラ、長距離音響発生装置、取締艇及び救助艇となっています。

 

水産庁漁業取締船「照洋丸」

(出典:水産庁HP、https://www.jfa.maff.go.jp/j/senpaku/ships/syoyo_maru.html

 

もう1隻、「照洋丸」と並んで係留状態の貨物船がいました。

船主が株式会社荒木商店、運航を日本砂利株式会社が行っている「第拾弐大栄丸」のようです。

よく見ると、奥のドックに海上保安庁の巡視船「つがる(PLH-02)」型がいるような…。ネットで情報を集めてみると、「おきなわ(PLH-06)」のようです。

 

貨物船「第拾弐大栄丸」

 

入渠中の巡視船「おきなわ(PLH-06)」の拡大写真

 

巡視船「おきなわ(PLH-06)」は、「つがる」型の5番船で神戸の川崎重工で建造され昭和59年9月に竣工し、当初は第七管区の福岡に配置され「ちくぜん」と命名されています。平成25年10月に第十一管区の那覇に転属し「おきなわ」と改名しています。

【要目】

 総トン数:3,324トン、全長105.4m、最大幅:14.6m、深さ:8.0m

 機関:ディーゼル×2、推進軸:2軸

 出力:15,600馬力、速力:23ノット、最大搭載人員:71名

 兵装:35mm単装機銃×1、ヘリコプター:シコルスキー76Dヘリコプター×1

 ※出典:世界の艦船、No.881、2018年7月、海人社、P46

 

巡視船「おきなわ(PLH-06)」

(出典:第十一管区海上保安本部HP、https://www.kaiho.mlit.go.jp/11kanku/ship&aircraft.html

 

サノヤス造船は、海上保安庁の船艇の修繕を多数受注しているようで、ネットでも良く係留されている巡視船の写真がアップされていますね。

戦時中には帝国海軍の掃海特務艇のうち「第十号」「第十六号」「第十九号」の3隻を建造しており、未成ではあるものの「第百二十五号」特設輸送艦(建造中に陸軍に移管)の建造も行っています。

 

「第十六号」掃海特務艇

(出典:丸スペシャル「掃海艇・輸送艦」No.50、1981年4月、潮書房、P.38)

 

サノヤス造船は、明治44年に佐野安造船の名称で創業され、昭和15年に佐野安船渠となり、昭和59年に「サノヤス」と名称を変更、現在は持株会社サノヤスホールディングスの子会社となっています。

 

本日の大阪は外に出ると汗をかくぐらいの陽気でした。もうしばらく、大阪臨海地区の「密にならない」所を散策してみたいと思います。