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祈るまえに、恋をして。

ときどきぽつりと更新。

その日、わたしたちは
『ゲージツ』ってものに
触れにいくはずだったのだけど。

なんていうの?
ちょっと
リキシにライバル意識を
もった1日に。


こちらのお宅




たっくさんの動物が。

猫はどれくらい?と聞くと
20匹くらい?かなーと言われ。
それはそれは美しい毛並みの
ドイツ犬種ワイマラナーと
恐らくポインターと思われる大型犬2匹。
そして年老いたパグ。

いずれも、飼い主に見放された
行く先のない動物たちを
隣家を気にする必要もない
この場所でお世話しているという。

猫たちはどこかで視力を
失ってしまったり
怪我を負った子たちばかり。
犬は、極度の不安分離症で
飼い主から見放されて
しまったらしい。

そんな猫や犬が
完全バリアフリーで
台所に続く土間を抜け
囲炉裏のあるこの居間で
くつろいでいたりする。

「さっきまであなた
ぬかるんだお外を
歩いていたでしょう?」
と言うその御足で
わたしの膝の上を
歩いていったりするのだ。


ぐるぐるぐる
くんくんくん
「あっんたーっだっれー?」
と猫さん、犬さん
客人のチェックに余念なく。

すると、
猫にも犬にもキョーミない
って顔したリキシは

わっしと大型犬ワイマラナーの
お顔を両手ではさみ

「おっまえ!かわいいなー
何て言うなまえだよーっ?」
質問するのだ。

続いて、次々と犬や猫のお顔を
わしわし、ぐりぐりと
両手で挟み
なにやら真剣に
質問をなげかけている。

「お名前なーに?」

へぇ?ったったのしそうだ・・・。
すんすん、くんくん。
みるみるリキシのお膝には
猫が競うように登りはじめ
パグもワイマラナーも
うれしそう。


焦ったのはこのわたし。
これではまるで

「動物に嫌わがちな女みたいじゃん!」




動物による人気投票は
リキシに軍配があがり
わたしの心は
それはそれは
折れっそーっになっていた。

それを、静かに救ってくれたのは
ポインターくん。

いつも客人には唸ってしまい
「この子はお客さんの前には出せません」
と家人に言われるこのポインターくん。
確かにさっきまでぎゃんぎゃん
お外で吠えていたね。

だけどわたしの折れかかった心を
察したのか、唸りもせず
おとなしくわたしの手を舐めて
頭をなでても怒ったりなんかしない。

ずーっと寄りそうようにそばいてくれる。
なんたって、リキシが呼んでも
見向きもしないのだ!
「ぎゅぅぅぅっかわいいのぉ」

ということで辛うじて
犬猫好きの面目を保ったわたし。
そのポインターとワイマラナーと
夢中になって遊んでしまい
お写真を撮らなかったなぁ。汗

そうそう、鴨とか豚とか
にわとり、山羊もいましてね。


$祈るまえに、恋をして。


豚の目線の先にはリキシ。

「ちょっとオレ豚と話してくる」
と外に出たリキシ。
テレパスィーで話してます。


リキシさんとは5回目の
春を迎えますが
まだ見ぬ彼の一面
というのがあったりします。


常々、わたしは
リキシさんに

「秋田犬を~、猫を~飼いたい」と
主張しているのですが
大抵の無理は
聞いてくれるリキシも
この“動物”を飼うと
いう一点においては
首を縦に振ってくれません。

「君ね、知ってる?
動物は“うんこ”するんだよ」

わたしだって
うんこしない動物がいたら
教えてほしーですよ。

私が名前まで決めているのに
なんだかんだいいながら
猫やら犬の話は
邪険に扱われるわけです。

道行く散歩中の犬に
目もくれぬリキシを見て
内心、こいつ
動物につめてぇーんじゃねーの?

そんな疑念が。

動物に冷たい男は
おなごにも冷たいよーな気がする。
もっと言えば
動物に嫌われる男って
なんか、サイッテーっ。



さてさて、話はかわって
先日の作家さん。

関東のはずれに
隣家はこの山ひとつ越えて
というような場所で
昔ながらの
本格的土壁づくりの家を作り
窯を作り
日々の創作活動に
専念されている方です。

“庵”と称されるその家に
私たちは日を変えて
お邪魔してみました。

その作品ができる場所を
一度見て見たい
そんな好奇心にかられ
ふたりで出かけたのですが
それはさておき。


のそのそのそ。
くんくんくん。
おいしいものを
たくさん食べている
おじさんの
おひざは
いいかんじ?








リキシのお膝は
猫でいっぱい。
たくさんの動物に
人気者でした。
男の買い物には
女のそれにはない
なんだか贅沢なやりとりが
あるものだなぁと

そんなやりとりを隣で眺め
女が思うことひとつ。



2月上旬。
以前から気になっていた
陶芸や墨絵の分野で
活躍される作家の個展に。

40分なら時間を空けられるからと
仕事の合間をぬうリキシと
そのギャラリーで待ち合せです。

実はこの個展には
その週末にも
訪れていて
壺やら茶碗やらお皿やら
お腹いっぱいな買いものを
していたわたしたち。

だからその日の40分は
その作家さんにお会い
する目的で訪れて。

いやいやリキシの目的は
きっと会うだけではなかったはず。

作風に惚れている。
自分のためだけの
制作物を依頼する気持ちもある。
金は出す。
ただ、それを託せるお相手か
判断しましょうという
気持ちだったのでは
ないだろうか。と思うのです。

現れたのは
剛毅木訥といった風情の作家。
これまた想像通り、
今時珍しいほど
金の力で仕事を、信念を
変えることができない男。

さぁさぁさぁと
ギャラリーの応接に
通されたわたしたち。

わたくしは
男ふたりのこの面談を
見守ることになるのです。

はじめて会う男ふたり。

片やその独特な作風が
メディアで紹介される
ことも多くなった芸術家。

一方、世界を向こうにまわし
己を鼓舞するその創造物がほしい男。

ふたり向き合い、
互いの存在を確認し

「こいつのために自分の才能を
惜しみなく出せるか」

「こいつの腕を信じ、
自分が神と信じるものを
この手に引き寄せることができるのか」

互いの匂いを嗅ぎ取るように
少ないやりとりでその器を
確かめあうの時間。

何を聞くかって
女のようにあからさまな
質問はしないのね。

あなたさんの仕事は?とか
予算はいくら以内で
これは嫌!あれは嫌!
わたしはこんなに素敵で特別なぁ人!
だから特別なものがほしーの!
みたいな、そんな話はしないわけ。

これはわたしか?


男ふたり、静かに、威厳を持って
とーまわしに。

「お仕事はお忙しいですか?」と聞き、
「えぇまぁ、出張が多くてね」と答える。

「ぼくは好きなものしか書きませんよ」
という作家に

「ぼくはこれが好きでねぇ」と
そのモチーフを指定する。

「あんたさんの欲しいものを
欲しがるひとは多いけど、
それは、“持ち主”を選びますよ」
と静かに釘をさしてくる。

それがどーしたと言わんばかりに
「ぼくはそれがほしい」
と相手を見つめる。

そしてゆっくり金額を
漢字で発音し。

そんなやりとりで
ふたり同志のように
「ぼくを信じてください」と握手。
ですよ。


わたしの着物が“まだまだ”なのに。


男の買い物を見物するって
時には、いいものですね。

価値の定義されてないものに
自分で価値をつけて
買値をつけるんですから。

久しぶりに
男の買い物に
いいものを見ましたよ。

男の胆力って言うんですかね。

どんな贅沢より
贅沢な気分になる。


あぁ、実のところ
そわそわしてましたよ。
提示金額にね、
あともうちょい下げとけよ
とかね、頭の中は
ふごふご言ってましたよ。

でもね、いいの、いいの。
その金額で贅沢な
自己陶酔を味わえたのです。
何がって、
わたしは鎮と、リキシの横に座って
ちょっと“檀れい”入った奥様風情で
「男の買い物に口出しをしない“いい女”」
でいることに“悦”に入ってたわけです。
もう自分に惚れ惚れですよ。

それはそれとしてね、
女がおもうことひとつ。

ほら、またこの男に
ほれなおすわけです。
男の買い物ひとつでね。