いってらっしゃい | 祈るまえに、恋をして。

祈るまえに、恋をして。

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祈るまえに、恋をして。


ホテルの窓から。おはよう。

九頭の龍が住んでいると、
伝えられてきたく九龍サイド。

宿泊したホテルは
この龍が水浴びをするため
ビクトリアハーバーへと
向かうその通り道に位置して。
リキシのようなビジネスマンに
とても『気』の良いホテルだと聞いていた。

今回の香港は
リキシにとっては、ただの出張。
私にとって、彼の故郷を知ることが目的。

この地が彼の記憶の出発点になる。
郷愁の拠り所、
自らを香港っ子というリキシ。

常々彼は、いつかこの場所に
帰りたい、居をかまえておきたいという。
君は海外に住むのは抵抗ない?
そう聞かれることもある。

だからなんとなく。
私にとってこの旅は観光じゃなくて
私がこの地に受け入れてもらえるか
この地に住まう九頭の龍に、
面接を受けるかのような
神妙な気持ちで降り立った。

どこに行きたい?と
聞かれたら、
あなたが住んでいた場所で
あなたが過ごした小学校で
あなたが見た風景を
私も見て見たいと答えた。
それと、彼のオフィス。

あぁ、それだけじゃ嘘だ。
クリスチャン・ルブダンの靴が
たくさん入るよう、
でっかいトランクを
引きずってきたんだった。

この強欲な女の将来を受け止める
印鑑を作る目的もあったはず。
まぁそれはそれ。

その日は平日。

リキシは香港にある
自分の会社に出社する。

お昼には一度戻ってくるから
外出できるよう準備しておいてねと
リキシは部屋を後にして
このスターフェリーに乗って
香港島にわたっていく。

$祈るまえに、恋をして。

リキシの乗った船はいく。
手を振ったのよ、わたし。

祈るまえに、恋をして。

この風景のどこかに
彼のオフィスはある。

「いってらっさい」
とつぶやいて
二度寝を我慢、お化粧を。