東京モノレール。
乗るたびに
乗客の顔にそれぞれの
物語を空想する。
みんな物思いにふけるように
車窓に見える東京に
目をむけて。
帰ってきた安堵
訪れた期待
置いてきた人への悲しみ
会いに行く人への愛しさ
いろいな想いが
交差して、いつも車内は
しんとしている。
私は音楽を聞きながら
このモノレールに乗るのが
好きで、
さっきまで一緒だったリキシに
タクシーで帰るよと言いながら
この乗り物に乗ってしまった。
さっきまで一緒だったリキシは
日本の北に向かい、
しばらくしてそのまま海外に
出てしまう。
今日の1時間半だけ時間が
あいたから、昼めしを食おうと
朝連絡があった。
急いで用意して、
食事をし、タクシーで羽田空港に
向かう間、彼は寝てしまう。
空港に着いたら
別れのキスなどしない人だから
手をふって、さっさとゲートに
向かってしまった。
ひとりになって
私の近くには警察犬がいて
その犬の後を追尾し
のろのろとショッピングエリアを
歩き、物欲を克服しながら
展望台に立つ。
彼の飛行機が飛び立つ時間まで
その展望フロアでぼんやり
足をブラブラさせて過ごし
曇り空に吸い込まれる飛行機を
本当に本当にテキトーに見送って
このモノレールに乗り込んだ。
私の顔は、どんな風に
見えるんだろう。
飛行機に乗ったでもなく
ただの見送りにきた私。
さっきまで、恋人の手をにぎりながら
「稼いでぇー帰ってきますよーにぃ」
と、唱えていた。
そんなだから、
欲深い女の顔に
見えていたかも知れない。