先日、11歳の離れた
長女の姉からメールがきた。
「母親は“大人”だと思っていたけれど
子供が思うほど、大人ではなかったと
理解できるのはずっと後だね」
前後文脈なく
メールはいつも
そんな風にはじまる。
私は
「私が母になったのも25歳。
大人なわけないよ。今もね」
と返してみた。
「私が生まれた時、お母さん21歳だものね」
そうつぶやく
この姉は子を持たない。
持たない故か、娘の感性のまま
今52歳を迎えたばかり。
若かりしころ南沙織に似ていて
今でも、ほっそりとして若く美しい。
日本画学科を出たこの人は
着物趣味が高じて
京都で染付やら着物の図柄を
書いたりして過ごしている。
夫がいるが
長い間、一人の男性と恋をし
その恋に苦しんできた。
「お母さんがね
離婚してもいいから
子供だけは生みなさいって
昔、あなたがまだ大学生くらい
の頃言ったのよ。
子供を生んで幸せだった?
と聞いたら
子供を生んだからやってこれたって
お母さん言ってたわ」
メールは続く。
「私は結局子供を持つ勇気がなかったけど
今になって、いたらどうだったかなと、考えるのよ。
結果、無理だったかなと思うんだけど」
だから、私が離婚協議中
我が娘を数日預かって
お母さんの真似ごとを
たくさんできたのは
人生の中で1、2を争うくらい
幸せだったと姉は続けた。
夫はいたが、
子供を産むなら、彼の子供を生みたい。
確かあの時、大学生だった私に
恋やつれをした姉がそう言った。
「でも長女だから、離婚なんかしたら、親に申し訳ない」
そう真面目腐った顔で言う
姉の美しい横顔をいつも思いだす。