父とハイヒールとわたし。 | 祈るまえに、恋をして。

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ときどきぽつりと更新。

私は、ハイヒールの履き方を
父に訓練された。


おかしな話だが本当に。

大学に入学するまでのぼんやりした時間。

父が私を玄関先に呼ぶ。

CHSRLES JOURDAN(シャルル・ジョルダン)の
黒のスエードパンプスを履けという。
18歳の私にとって、
その細すぎるピンヒールは、あまりに華奢で、
そんなものに“乗っていいのか”戸惑った。
ハイヒールを履くのはその時が初めてだった。

9センチヒール。
なんとか立って、父の正面に立ってみる。

そのまま、まっすぐ歩けという。
何度も何度も重心を崩すたびに叱られながら。

父は「男が振り向きたくなる、女の歩き方」を
18歳の私に叩きこむ。

歩幅、スカートのすそ捌き、徹底的に。
後ろ姿、立ち止まり方まで。
数日間、男目線から見た美しさを、父は伝え続けた。

今でも私はヒールの後ろや踵部分が剥げたり、
傷つけたものはすぐに修理するか、処分する。
その傷は、見惚れて振り返ってくれた男が
残念な気持ちになるんだとか。

今、ファッションは女性目線で自由に楽しむ時代だが
時に男性目線を持ち込んでみたら。
いつもより、少し自分に厳しくしなくてはいけないけれど。

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「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」
その当時、父はよく言った。
芍薬の季節がめぐるたび、自分の佇まいを反省する。


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