レストランに子供を連れていくのは、
興ざめするルール違反だけど、
訳あって、制服を着た女子高生をタクシー
に押しこみ、麻布十番のイタリアンに。
「でさ、一流シェフとかいう店って、結果まずくね?」
悪態をつく彼女を睨みつけながら、
私はワインをいただく。
「うっまっ」
運ばれてくる料理に、感嘆の声は4文字。
私は頭を抱えながら、
ワインが進む。
すると彼女が切り出した。
「あのさっ輪廻転生ってあるじゃん。
そもそも生まれ変わるのかっって
言うのもあんだけど、
私さ、もう生まれ変わりたくないんだけど。
もう、よくない?今回で十分なんだよねー。」
女子高生がリンネテンセイを語り、今世
修行の場として、生きる苦しみを
理解しているのか・・・。
私はつい爆笑してしまい
「いやっわかる。ママももう今回でアガリたいね。
あの世でのんびりしていたいねー」
と答えてしまった。
「生きるのってタイヘンじゃん」
女子高生の本音。
その話の延長で、
「ところであなた自立できるの?」と問いかけた。
「時期がきたらするんじゃね?」
する“んじゃね?” ンジャネ?
すると彼女がふいに真顔で問いただす。
「あのさ、子供育ててさ、正直、疎ましい
と思ったことあるでしょ?」
ウトマシイ?
「不思議なもんで、虐待気味に激怒をしても
そこまで思えないわよ。
親の愛ってそういうものでしょう?
むちゃくちゃムカツクけど、親だもの」
「ふーん」と彼女。
はっ!自立の話だ!
「ねーママは嫌よ、ずっと面倒見るなんて!
自立してよ!こんな我儘な娘と
ずっとこんな大変な人生なんて!」
すると、女子高生は言い放った。
「もっと、人生、大変な人、いるべ。」
あーワインが進む。
オチはないんだけど、この話、
娘はいつから辛口な女友達“風”になったんだろう。