寝ぼけていたと言われてもいい。
これだけは、体験した確信する。
娘はハイリスク出産と超難産の上、
この世に生まれてきた。
私の産後の肥立ちはすこぶる悪く、
母を頼りに、母乳をあげては寝るを繰り返す。
ある晴れた日、母親がベランダに大量の洗濯物を
干していた。窓はしまっていたが冬が本格的に
始まる前の、陽だまりのような一日だった。
横になっていたが、目はさめていた。
母親と洗濯物を眺めていた。
急に玄関から風が入り、ドアが開いた。
鍵をしていないのかと、立ち上がろうとしたが
体は動かない。大量の光が入りこんできて
玄関が金色に見えた。その光の中に
亡くなった祖父と祖母はいた。
「あぁ」声にはならない声を出した。
娘のベットまで歩み寄り
見覚えのある帽子を礼儀正しくとる祖父。
しゃれたワンピースを着て少し照れたように笑う祖母。
娘のほほをなでるや、「よくがんばった」
といってほほ笑んだ。
何か話かけたかったのに、何も話しかけられないまま
二人は来た時と同じく、光の中に消えていった。
涙は出なかった。
褒められたことがうれしかった。
母に「おじいちゃんとおばあちゃん来たよ」というと
「あぁそう」とこともなげに返事する。
そうだ、この人のほうが勘が強かった。
そしてこの母もまた孫に対して、
“特別な力”を使う時がくるのかもしれない。
いや・・・もう今でさえその力は発揮されているんだった。
命は必ず綿々と見守られている。
そんなことを感じる出来事だった。