気管カニューレ。

というのは、解っているようで、解っていない医療者が多いと思う。


というのは、臨床していて常々、常々、思っていました。

入れているお医者さんしかり、毎日吸引するなど管理している看護士さんしかり。

同僚のPTOTも、カニューレ付近は触れない、みたいな子が多かった。


こないだ、

「もう食べられないと内科医に宣告されたが、ST的にどうか診てほしい」

と、主治医である(カニューレ専門外の)医師に頼まれ、患者さんを診る機会がありました。

その患者さんも、気管カニューレが入ってました。


カニューレというのは、いくつか種類があります。

人工呼吸器装着目的のものだったり、

発声・嚥下の練習目的のものだったり、

カニューレ抜去練習目的のものだったり。


詳細を省きますが、その患者さんは、発声・嚥下の練習目的でつける、スピーチカニューレの単管カフ付(吸引ラインなし)タイプでした。


結局私のみたてでは、その患者さんは、「今すぐ食べる練習ができます。発声もできます。しゃべれます」ということになったわけですが、なぜ内科医の所見と食い違ったかというと、


それはカフです。

カフ付きカニューレが挿入されていると、「膨らませていないといけない!」と誰もが思うようですが、

カフって、人工呼吸器がついていないのなら、発声・嚥下・咳嗽には邪魔なものでしかないですよね。

もちろん、唾液がダラダラ気管に流れ込み、何度も何度も誤嚥性肺炎を繰り返しているような最重度嚥下障害は別ですが、

そうでないかぎり、カフは邪魔になります。


だって、気管いっぱいに風船が膨らんでるんですもの。

そりゃあ、飲み込むとき邪魔ですよ。。。


その患者さんも、気管の感覚が生きていたので、カフが入るとゲホンゲホン咳がでて、苦しそうで。

加えて単管カニューレだったものだから、炭が空気孔に詰まり、その状態でスピーチカニューレをつけると、喋れないどころではなく、息が出来なくなってしまってました。

たぶん、最初に診た内科の先生は、この状態をみて「もう食べられないね」となったのでしょう。

「カフ、抜きますね」と医師・看護士に確認すると、「エッ」という表情をされましたが、

抜いてみると患者さんは楽になり、喋れるようになったのでひと段落。


咳嗽力十分、随意嚥下OK、喉頭挙上十分、着色水テストクリア。

構音障害があるけれど、これは以前からということで目をつむり。

患者さんは、その日からゼリーを食べ始め、その後あっという間に1日3食食べられるようになったのでした。もちろん、邪魔なカニューレも早々に抜去してもらいました。


患者さんの状態をしっかりと見極めたうえで、本当にカフっているの?いらないの?という評価は、

STが嚥下訓練を進める軌道上、避けては通れないですよね。

カフを抜く瞬間は緊張しますが。

結構、必要のない人にめいっぱいカフ圧入れている場合もあるので、そういう時はSTの出番です。



私は超急性期リハビリしか経験がありません。

脳疾患にとどまらず、どの疾患の患者さんも、「これから回復!」というときに転院してゆきます。

だから、教科書にあるような、訓練室における「訓練らしい訓練」というものをあまりしてきませんでした。

たぶん、訓練の内容については、あんまり参考にならないと思います。

が、超急性期のSTリハビリについて、少し紹介したいと思います(私流の。。。ですが)。


訓練室は3室ありましたが、殆ど使いませんでした。というか、リハビリ室にいること自体があんまりなかったです。

ベッドサイド、庭、廊下、ナースステーション、PTOTの機能訓練室、どこでもリハの場所になりました。

訓練室のリハビリは、ホントにリハに乗ってくれる患者さんしか、使いませんでした。意味ないですから。


一日の初めに、その日に見る全ての患者さんのカルテをチェックします。

何かあれば医師が書いているので、必ず。

STとしては、

食事(濃厚流動食含む)の量

薬剤が変更されていないかどうか

血液データ

熱型、血圧値

前日のレントゲンやCT、MRI、MRA

などを見て、

看護師さんの記録に目を通します。


その後、病棟に向かいます。

脳疾患の場合はベッドサイドに伺うと、殆どの場合患者さんは寝ている(寝かされている?)事が多いです。覚醒も悪いです。

看護師さんに一声かけて、夜間や今朝の様子について確認します。

その後、患者さんに声をかけてから、自分でバイタルを確認します。


血圧(くも膜下出血、脳出血、脳梗塞で、リハの適応血圧数値が異なります)。

酸素飽和度。

心拍、心電図(心臓由来の脳疾患の場合は…まあ、心電図は講習を1回受けただけなので、あんまり見れませんが、一応確認はします。頻脈除脈も)。

と同時に、全身状態を観察します。

皮膚状態(栄養状態)、神経症状の有無、そのほか、ライン類(点滴とその内容、残量など)。時々点滴漏れを起こしていたり、NG(鼻から栄養を入れるチューブ)を自分で抜いていたりするので。



バイタルや神経症状に変わりがなく、全身状態が許せば、ベッドアップし覚醒させます。口腔内を見て、汚ければ歯磨き、洗面(たとえ直前に看護師さんがやってくれていても、STとして口腔ケアはやります)。

車椅子OKなら乗せます。

ここまでで、たぶん20-30分はかかります。

超急性期は、症状に応じて、この後関わる内容が違ってきます。


失語症患者さんなら、歯ブラシを見せたりして呼称させたり、櫛を探しているフリをして理解度を見たりします。廊下に飾られている絵をみて「絵ですね」「何の絵ですかね」と話しかけて、「花」「きれい」とか返ってくればいいかな、みたいな感じで…。


ただ、一人の患者さんに長時間かかわっていると全員を見きれないので、どうしても車椅子に乗せるのは優先順位をつけないといけません。今日はこの人乗せて、とか。或いは、車椅子に乗せるのはPTOTさんに任せて、STはその後入る、とか。この辺の調整に時間がかかってしまうのも悩みもの…。

急性期は看護師さんや医師による処置や診察も結構入るし、点滴もたくさんしているので、「さあSTやろう」と思ったら点滴交換…オムツ交換…医師回診、みたいなことも多々あり。


でも、その分いろんな職種と関われて楽しいですけどね。

Amebaしばらくお休みしてました。

いろいろありまして;;その間、ブログを訪れていた方々、どうもありがとうございます。

メッセージ、消えてしまいました。。。もし送ってくださった方がいたら、ごめんなさい。


はじめて入院というものを経験して、患者さんの立場になってみて、ああ、患者さんって、本当に医療者のひとことひとことに動揺したり、不安になったり、楽になったりするんだなって実感しました。

退院したあとは、楽になったひとことより、苦しめられたひとことを長く引きずるってことも解りました。



うーん。。。これまでのST人生を振り返りつつ、反省反省。。


ちょっと臨床を離れてしまいましたが、少しずつブログ再開していこうと思います。

さて、何が書けるかな。