永井陽子『樟の木のうた』
きつねのごんよここは日暮れのだまし坂木の実草の実汝が尾もひかる
NRさん
夜明け前枕の下に鳴く蛙ゲコゲコゲコ月下にわが世を謳歌
糟糠の妻三食を丹精す今夜のカレーミシュランと誉め
大塚先生の添削
夜明け前枕の下に鳴く蛙ゲコゲコゲコとわが世を謳歌
糟糠の妻丹精の食事なり今夜のカレー三ツ星と誉(ほ)む
MEさん
夏服をあれこれタンスに押し込んで老母のおしゃれいかになるらん
黒き影吾が足元を横切りぬ驚き仰げばカラス飛び行く
大塚先生の添削
夏服をあれこれタンスに押し込んで施設の老母おしゃれ健在
黒き影ふいに足元横切りるを仰げばカラスとなりて飛び去る
MSさん(欠席)
アジサイの葉つぱの上にあまがえる梅雨を待つのかケロケロと鳴く
陽だまりに長々と身をよこたえる犬を見ていてあくびが一つ
YYさん
いく筋も流れ落ちくる富士の水五月の空と白糸の滝
五合目で富士の山頂(いただき)肩に受け夫と寄り添いシャッターを待つ
大塚先生の添削
いく筋も激(たぎ)ち落ちくる富士の水五月の空と白糸の滝
五合目で富士の頂わが肩に夫と寄り添いシャッターを待つ
AYさん
腹の子が男の子とわかり憲法九条(きうでう)のはるけき将来(さき)を案ずる娘
友の声梅雨の気配を押し分けて庭よりひびく明日またねと
大塚先生の添削
腹の子が男の子とわかり日本の平和の行方案ずる娘
友の声梅雨の気配を押し分けて庭よりひびく「じゃあ明日またね」