県立入試問題
先日、本県の高校入試が終わったので今年の問題の雑感をば。なお、国社数のみ実際に解答しました。現在は英語教員だが、塾講師時代は社会がメインだったので血が騒ぐ（笑）数学は良い感じのレベルで解けないので考えるのが楽しかったりします。国語：例年通り記述多い。小説の心情問題は直前だけでなく全体から要素を抜くのでちょい難しい。だいたい例年通りか？最後の大問の作文は問題文の条件を上手く満たすのが肝。自分で解いてみたら条件不成立のため見事０点（笑） 国語の先生に軽く説教を受けるはめに。英語：英作文が大幅に増加。一方で問題自体の難易度は易化（らしい）。最後の英作文は英文メールに答える形なので読めない子はそもそも問題の意図がわからないと思う。自分の教科科目だが県立入試の問題は面白くないのでそもそも解いてない（笑） 純粋な整序形式の文法問題とか出してほしい。数学：激変！！数学的な難易度は易化したが、問題文の読み取りが大幅に面倒になった。最初の大問から単純な計算問題が消え、文章から推測する簡単な計算問題となった。具体的には、気温の前日比を見て昨日の最低気温を答えさせる問題が出題された。これは学力が低い子にはそもそも読み取れないと思う。その他の問題も文章から読み取らせて考えさせる形式が増え、連立方程式の文章題には新共通テストの形式を想起させるような会話調の誘導も。二次関数や図形の証明、統計、立体図形の計算などは例年に比べると簡単なのでは？文章が読めるような地頭の良い子にとっては楽勝、一方底辺校を受験するレベルの子にとってはかなりきついと思う。社会：激変！！知識で解ける用語を答える問題が減少し、資料から読み解く記述問題・説明問題が激増した。驚くなかれ、文章で説明する問題は１０を超え、公立中高一貫校の入試が半分導入されたかのような問題であった。そういった問題は知識はほとんど不要で、必要なのは資料の中から読み取れる情報を答える能力。つまり、答えは資料中に書いてある。これも頭の良い子なら楽勝だろうが、そうでない子は正確に解くのは難しい。一方で歴史の用語を答える問題は「口分田」と「中大兄皇子」のみ。なぜその時代の問題だけをチョイスした・・・。一生懸命用語を覚えてきたとしてもそれほど報われず、あまり勉強していなくても頭が良ければ解けてしまう問題というのはいかがなものか。理科：解いていない（笑） この科目は塾講師時代の貯金もゼロなのです。。。総評：新学習指導要領に併せてカスタマイズした新しい入試問題の元年と言えばよいのか。共通テスト問題と似たような形式も散見され、現代風に言うと思考力・表現力・判断力を問う問題となるだろう。しかし、思考力＝資料の読み取り、表現力＝記述問題・説明問題という形に拘った問題とも言うことができる。前述のように、頭の良い子には簡単で、そうでない子には難しい問題が多かったと思う。つまり、学力の格差がますます拡大してしまうのではないか。学力が低い子でもしっかり勉強してくれば取れる問題がもっとあってもいいのでは？地頭の良い子がほしい公立中高一貫校の問題であれば記述問題・説明問題中心で良いと思うが、公立高校の入試問題としては不可。より万人向けの単純明快な問題があっても良いはず。そして、記述が多いということはそれだけ採点側にも負荷がかかるということ。問題作成者は定期考査と違い、自分で採点することを考えずに問題を作成したのでは。私は大学入試はセンター試験のままで全く問題ないと思っているし、記述問題なら二次で出題されている。大学によっては英語民間試験で好成績を修めていれば優遇される推薦試験もあるし、無理に全ての大学に導入する必要はない。それを決めるのは大学側の判断であり、学問の自由に反するとさえ思う。話がそれた。とにかく、国と文科省の方針には不信感をますます抱く試験となった。（あくまで県の入試問題だが） これも教員を辞めたい理由の一つになっている。
