やがて何も聞こえなくなってしまうと、彼はルイに全てを話した。タンプル塔からルイを連れた出したのは自分だという事。そして、それはルイに未来の王になってもらう為だという事を。


 しかし今のルイには何も出来なかった。“ルイ17世”は1795年にタンプル塔で亡くなった事になっている。もし今名乗り出たとしても、誰も自分がルイ17世だと知る者はいない。今はまだその時ではないのだ。自らに与えられた永遠の命、そして体を流れる王家の血を信じて彼は闇に身を潜め時を待った。