
――村は死によって包囲されている――。

『屍鬼 上巻』
著 小野不由美
新潮社 定価 2200円
扉が棺のマークでとても怖い。
標題紙には――「To 'Salem's Lot」の表記。
Stephen Kingへのオマージュだ。
『屍鬼』を読むのは二度目。
一度目は文庫本で。
二度目は絶版状態の単行本をわざわざ取り寄せて読んだ。
文庫本の解説で宮部みゆきが「文庫版だと、小説が持っているエネルギーを伝えきれない」と単行本を推奨していたからでもある。
しかしファンとしてはやはり単行本も欲しいもの!
↓文章は二段構成になっている。

最初は文字の小ささに辟易したものの、90ページ辺りを越えるともう止まらなかった。
文字に目が慣れた、というより小野不由美の文章に惹き込まれた。
それこそ取り憑かれたように――。
小野不由美の『屍鬼』は読むごとに怖さが増大する小説だ。
村の人々の平穏な生活。
そこに入り込んだ災厄。
壊されていく日常。
忍び寄る翳。
飛び交う噂。
広がる死。
それらがぴたりと整合した時、浮かび上がる真実――。
――村は死によって包囲されている――。
全てはここに収斂されている。
読んでいると自然、歳が近い者の視点に目がいく。
・・・・・・ダメだ。
夏野と徹の話は何度読んでも苦しい。
「刺すほど度胸のある奴がいたら受けて立ってやるよ」
夏野の言葉が残響する。
結末を知っているのに、小説の中の人物に叫びたくなる。
読む毎に結末が変わるわけじゃない。
それでもなお、叫ばずにはいられない。
小野不由美の人物描写には恐れ入る。
感情移入せずにはいられないのだ。
『屍鬼』を読む度にそう思う。
そう言えば、二度読むと面白いこともあってね、『屍鬼 上巻』の初版、p307「藪をつついて棒を出す」とあるのだけど、
正しくは「藪をつついて蛇を出す」。
「藪から棒」と間違えたんだろうね。
小野不由美の著書では貴重な間違いであった。