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治者と被治者の自同性

こうした議会制民主主義(その2の2参照)に代えてシュミットが指し示す道は、治者と被治者の自同性という意味での民主主義原理を貫徹することである。
もはや実現不可能な「討議を通じた真の公益への到達」は放棄せざるをえない。
そして民主主義を貫徹するためには、秘密投票によって代表者を選ぶという中途半端な議会制民主主義ではなく、反論の余地を許さない公開の場における大衆の喝采を通じた治者と被治者の自同性を目指すべきである。院外の人民に対して責任を負わない代議士の討論は、こうした人民の意思の前にはもはや存在理由を持たない。こうした議論の背景には、大衆に可能なのは「喝采」にとどまり、政策の選択は不可能だとのシュミットの認識が隠されていくことには留意が必要である。

以上

いずれにせよ、ポピュリズムに陥らないために、やはり個々の意識改革が肝要。
日本では(海外は知らないが…)あまりにも政治的議論を活発にさせるようなメディアの活用は見られない。
最近テレビをみたとき、どこのチャンネルを回しても本当に心の底からこれはいい番組だと思えるものがなかった。

メディアは制作費を捻出できないのだろうが、スポンサーの意向を反映していたら、世論に疑問を呈するような番組構成は不可能だし、結局のところ自分で自分の首を締めていくことになる。


メディアの役割は終わりつつある、というか、終わったているのだろう。