小気味よく進んで行っている。
そしてIDRUS での仕事も。
こちらでは現在作業ではなく、マーケティングや接客の仕方の見直しなどなのだが、
とにかく集中して、今日が人生最後の日だと思ってやってみている。
以前はオーナーのアレッサンドロに
「ちゃんとIDRUS のことだけ考えて仕事して欲しい!」
と言われた時、
「仕方ないよ。同じ分野なのだから、仕事中にも自分の作業のことが頭に湧いてくるのは!」
と思っていた。
やるべきことは自分で探す必要がある立場なので、
ついつい手持ち無沙汰でぼんやりしてしまうことも多かった。
でも、
自分の人生を切り売りしているのだとすると、
その時間も有意義に、そして結果を出して過ごすべきではないのか?
とマンネリ化していた仕事は、自分のせいだ
と感じた。
オーナーが変わらないと思うのであれば、
自分が変われば良い。
そのように仕事をしている今日この頃、少しずつではあるが変化が出始めている。
オーナー不在の本日のお客様とのやり取りを反省してみる。
アメリカ人の年配の男性。
珍しく値段交渉される。
途中アレッサンドロと連絡を取って、値段を伝える。
現金で支払うために翌日いらっしゃるということで、商品は取り置く。
英語での応対だったため、
もっと伝えたいことを伝えきれていなかったと、
後になって感じる。
ここで働いていて、
つくづくアレッサンドロの作る物のすごさに、
そしてそれらが生み出される空間に身を置いていることに、心が躍る。
フィレンツェに長年住んできて、たくさんの彫金職人の人々に会い、作る物を見て来たけれど、
一見なんてことないような物でありながら、
重さや形が計算し尽くされていて、
そして洗練という言葉に尽きる彼の作品、
それが手作業で生み出されているのを見るにつけ、
別格だな
と感じる。
それが、ここを卒業できない一番の理由でもあるのだけれど、
美を追求する日々はやっぱり素晴らしく、
それをたくさんの人々に、もっとうまく伝えたいという思いも大きい。
自分の制作ももちろんだけれど、全ての時間がかけがえのないものであり、
天才肌の人のアシストができることに、今日も感謝である。
今日も最後まで読んで下さり、ありがとうございました。