北朝鮮の「ゆく年くる年」(前編) | 長いブログ (旧:ぶらり北朝鮮)

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以前は北朝鮮旅行記でしたがネタ切れで変更。
その名のとおり、記事一本がやたら長いです(笑)
書くのも、読むのもしんどい。
いや、わかってんですけどね…なんかこうなっちゃう。
お疲れの方は何度かに分けてお読みください。
その方がアクセス数上げられr@うxぁp…

 

みなさまお久しぶりです。

  &

あけましておめでとうございます。

 

どなたさまも穏やかに

良い新年をお迎えになられたでしょうか。

 

まぁもう世間では仕事始めも済んだので

今さら何言うてんねんって感じですね、すみません。

 

 

さてこのブログ2か月ぶりの更新です

…と言っても、新ネタがあるわけではないんですが。

 

ほんとうなら最大9連休となったこの年末年始、

ドーンと再度北朝鮮に飛び

現地の年越しレポートでもやりたかったところなんですが

なにぶんおカネがありませんので…(苦笑)

 

クヤシいからカレンダーだけは手に入れたww

 

北朝鮮のフラッグシップ、

あの高麗航空のカレンダーですよ。

 

中を開いてみると…

おっと、1ページ目からからスゴイ画です(笑)

これは…体操ですか?

どうやら北朝鮮版の「ラジオ体操」として

全土に広く浸透している「律動体操」のようですね。

しかし年頭1発目にこの画かよw

 

まぁでもほかの月はちゃんと航空会社してます。

整備士さんとか

 

ド定番の客室乗務員さんとか。

 

でも実はこういうカレンダーって

基本的には海外向けお土産の要素が強いんですよ。

実際、これも「高麗航空」が作って売ってるんではなくて

なぜか「朝鮮出版物輸出入社」の制作です。貿易会社ね。

人気のコンテンツとタイアップしたグッズ、というか。

ま、例えて言うなら「ジャニーズのカレンダー」みたいなもの?

あれも「ジャニーズ事務所」じゃなくて

集英社とか講談社とかの制作発行ですもんね。

 

国内向けには別のカレンダーがあるみたいです。

おなじみの将軍様とか工芸品とか風景とか

そういうデザインが多いんだそう。

 

 

さてニッポンの年末といえば

 

「紅白歌合戦」と

 

「ゆく年くる年」ですね!(←そうなのか?w)

 

まぁ最近では民放各局で

さまざまな定番番組の人気が高まって

今回の紅白は視聴率が史上最低だとか

もはやオワコンだとかいろいろ言われてますが…

昭和のおっちゃんにはそうなんだよっ。

 

 

で、そんな年末特番ですが

実は北朝鮮にもあるんです。

 

その名も「설맞이 축하공연」。

(ソルマジ チュッカコンヨン)

 

「설」(ソル)は「お正月」と言う意味で、

直訳すると「新年を迎える祝賀公演」ですが

もうちょっとカッコ良く言うと「迎春祝賀公演」かな。

 

今回は現地リポートができない代わりに

昨年12月31日大みそかの夜に

ご存じ朝鮮中央テレビが放送した

2020년 설맞이 축하공연

(2020年迎春祝賀公演)

を皆さまにちょっとご紹介。

 

海外「から」お届け…ではありませんが

ま、北朝鮮ネタですからw

 

まずは冒頭おなじみの有名アナウンサーが登場。

 

「これから主体109、2020年を迎えようと

首都ピョンヤンの金日成広場で行われる

迎春祝賀公演を中継いたします。」

 

ちなみに「主体109年」とは北朝鮮独自の年号、

「主体暦」で数えた2020年のこと。

まぁ「令和2年」みたいなもんです。

厳密には違うけど。

「主体」は「チュチェ(주체)」と読みます。

北朝鮮の基本的な政治思想である

「主体思想」に由来しているんですが

それを創始したのが故金日成主席で

彼が生まれた1912年を元年とした紀年法が

主席の3周忌となる1997年から採用されています。

さっきのカレンダーにも書いてありましたね。

 

さて、映像はすぐに金日成広場の中継映像に変わります。

すでに広場は大勢の人でいっぱいですよ。

規模感がちょっとアレですが、ふだんはこんな感じ。

ニッポンでは軍事パレードなどでおなじみのあの場所。

ここがあれだけの人で埋め尽くされてるワケですから

その人数たるやものすごいものです。

 

そしてそう。この番組は生放送。

「迎春祝賀公演」は野外で行われるリアルイベントなんです。

 

大みそかの午後11時ごろから

翌日元日の午前1時ごろまでおよそ2時間にわたり

歌やダンス、花火などが繰り広げられる

まさに年越しカウントダウンライブ!

 

この時期のピョンヤンって

ヘタすると夜の気温がマイナス10度とか

北海道レベルの寒さになるんですが

観客も出演者も

酷寒の野外ステージで盛り上がりますよ。

 

さあ、いよいよスタート。

お姉さんが歌いながら現れました。

 

一発目の曲は「내 나라 제일로 좋아」。

(ネナラ チェイロ チョア)

「我が国がいちばん好き」という

有名すぎる祖国愛爆発の歌でテンションを上げます。

 

そして大御所(と思われる)歌手が続々と登場。

 

いや、全員のお名前は存じ上げませんが…

 

どこで仕入れてきたのか

観客の皆さんは手に手に光りモノを。

 

曲ごとに次々と美人歌手が。さすが北朝鮮(?)です。

 

もちろん渋い声が素敵な男性歌手も。

いやマジいい声っす。

ここでお聞かせできないのが残念。

 

しかしやっぱりむっちゃ寒そう…

 

続いてはチビッコ歌手ですよ。

年齢不詳の妖艶さがあるなw

 

幼いながらもプロのオーラが出まくってます。

 

うわ、もっといっぱい出てきた。

おおっ。まるでこれは「Foorin(フーリン)」!

いや、人数多すぎか(笑)

 

でもなんか画だけ見てると「パプリカ」とか歌ってそう。

ただもうすでに夜11時半回ってんですけど。

労働基準法とかないからなぁ。

子供でも「深夜労働」ドンとこい。

ニッポンではFoorinがレコ大の受賞した時は

夜9時以降だったために

ホントかどうかはわからないけど

メンバーみんな「家に帰って」るということで

電話でインタビュー受けてましたもんね。

 

ほかにもキレイな人いっぱい出てきて飽きません。

 

みなさん全員ヘッドセットマイクをつけて

ナマ演奏でしっかりナマ歌ですよ。

ニッポンの誰かさんみたいに

口パクではなく愚直に歌い切ります。

 

その証拠に真っ白な息がもうもうと。

いやほんとに寒そうだなぁ。

 

そして前半の出演者がずらり勢ぞろいして

 

ステージ横の巨大スクリーンに時計が映し出されると

 

進む秒針に合わせて

いよいよカウントダウンのスタートです。

黄色い文字は「평양(ピョンヤン)」。

北朝鮮の標準時です。

日本との時差はありません。

以前は30分だけ遅かったんですけどね。

 

観客も一体となって「10!9!8!…」

 

ステージ上のチビッコ歌手はさすがにお疲れか

やや目がうつろですw

なんたって真冬の真夜中。

寒いし眠いし…大変ですよね。

 

巨大ビジョンに現れる数字に合わせて大合唱。

ステージ後方にも巨大ビジョンがありました。

あちらの広場では

「ピョンヤン氷の彫刻祭典2020」を同時開催中。

たくさんのライトアップされた氷像が並びます。

別に入場料が必要らしいですけど。

 

さあいよいよ、「1!」

 

そして「ゼロ~っ!」…って、え??

「0」ってカウントするんですか?

それにバックの秒針がまだ回りきってないぞ。

いやそうさっきからなんかカウントのペースがおかしいと…

 

そして微妙なタイムラグの後に大きなチャイムが鳴り響き

花火が一斉に上がります。

「0!」で0時じゃなかったのね(笑)

カウントダウンが目的の単なる演出だったのか。

まぁ何はともあれ新年です。

 

 

「みなさん、新しい年が始まりました!」

「新年を祝う祝砲が上がります!」

「あけましておめでとうございます!」

 

そのほか

「栄光あるわが朝鮮民主主義人民共和国」

「偉大な首領様」

「金正恩同志を永遠に…」などなど

とてもワタシの語学力じゃ聞き取りきれませんが

あらする修辞を使って男女のアナウンサーが

交互に(やっぱり)絶叫します。

 

バックにはオーケストラ演奏の国歌も流れて

現場観客のボルテージは最高潮に。

 

およそ2分間にわたる

数百発の花火ショーが繰り広げられました。

で、ちょっとここで目に付くのが

手前に光るいくつもの小さく四角い灯り。

これ、スマホなんですよ。

 

 

最近はスマホがすっかり普及しましたね。

 

あっちでもこっちでも

スマホ構えてシャッターをカシャリ。

こういう光景が珍しくなくなってきました。

まぁこの公演会場には中国人などの外国人観光客も大勢いるので

みんながみんな北朝鮮市民ではないのでしょうが

それでもこうしたスナップ文化は急速に浸透している様子。

このままいけばそのうち北朝鮮でも

もっと気軽に市民や街中を撮影できるようになるかもですね。

 

ちなみにさっきの「あけましておめでとうございます」。

 

韓国では新年のあいさつとしては

「새해 복 많이 받으세요」

(セヘ ポン マニ パドゥセヨ)

(=新年の福をたくさんもらってください)

が一般的なんですが、

こちら北朝鮮では

文字がコワイよ(笑)

「새해를 축하합니다」

(セヘルル チュッカハムニダ)

(=新年をお祝いします)

を使います。ちょっと表現が堅苦しいですね。

こんなところにも南北のちょっとした違いがあります。

 

そして巨大ビジョンには2020の文字。

このあとステージは後半戦へと入ります。

 

たいがい長くなってきましたので

続きは「後編」へ…