戦争前のイラク・思い出写真帖(6) | 長いブログ (旧:ぶらり北朝鮮)

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以前は北朝鮮旅行記でしたがネタ切れで変更。
その名のとおり、記事一本がやたら長いです(笑)
書くのも、読むのもしんどい。
いや、わかってんですけどね…なんかこうなっちゃう。
お疲れの方は何度かに分けてお読みください。
その方がアクセス数上げられr@うxぁp…

 

バスはイラク南部のサマワへ向かって爆走中。

 

地方は未舗装道路も多いんですが

主要道路は道幅も広く舗装もしっかり、

思ったより道路事情は良いようです。

 

ま、石油産出国だけに

舗装用のアスファルトは腐るほどあるでしょうしw

なんせ2600年前から舗装道路作ってた国ですからね。

格が違います。

 

砂原のはるか遠くに見えるモスク

どんな小さな村にも必ず立派なモスクがあります。

 

遺跡に近づいてきました。

小さな村の中を走り抜けるバスに

なぜか犬までが駆け寄ってきますww

思いがけない歓迎(?)にほっこり。

 

目的地のウルク遺跡は

見渡す限りの砂漠の中にありますよ。

ものすごく向こうにそれらしきものが…

 

もはやどこが道かすらわからない砂漠の中、

さすが地元のプロドライバーは

見事なハンドルさばきでバスを走らせます。

ほどなく遺跡の入り口に到着。

手前にあるのは遺跡ではなく管理人宅(笑)

ここウルクの遺跡は

管理人一家が住み込みで管理してます。

こんな砂漠の真っただ中ですから

けっこうキビシイお仕事ですね。

 

管理人一家の子供たちがお出迎え。

 

遺跡本体へはまださらに砂漠を歩くので

まずはみんなでおトイレです(笑)

子供たちが「こっちだよー」とご案内。

オンナノコが立ってるところがトイレです。

 

トイレの中を激写w

おっと、

一瞬目を背けてしまいそうですが(笑)

これはウ〇コではありませんよ!

濡れた石の色です。

 まぁそれでも見たいものではありませんが…

 

電灯はもちろん

明かり窓もない真っ暗な部屋に

ただ穴が開いてるだけのトイレ。

マジで真っ暗なので「的」が狙いにくく

みんななかなかお行儀よくできないんです。

で、こんなことに。

 

でも空気がとても乾燥しているので

不思議なほど全然臭くありません。

 

さて。

身も軽くなってレッツゴー。

遺跡の本丸をめざします。

 

広大な砂漠の中にこつ然と現れる巨大遺跡。

ウルクはメソポタミア文明の初期文明を支えた

シュメール人が暮らした都市国家で

今から約5千~6千年前の遺跡です。

 

ここウルクの王は

「ギルガメシュ叙事詩」で有名な

半神半人の英雄ギルガメシュです。

おっちゃん世代には

深夜放送のタイトルが懐かしいですねw

 

最盛期にはその都市の広さは

約400ヘクタールにも及び、

とても栄えていたといいます。

あまりに広く、まだまだ発掘は途上。

 

すでに風化が進んでいる部分も多いです。

 

そんな壁の中からちょろりと顔を出すものが。

これはアシの葉。

壁の強度を増すために工夫された

当時最新の工法です。

にわかには信じられませんが

これ、5000年前のホンモノ。

あの奈良で毎年話題になる

「正倉院の宝物」が1300年前ですから

その4倍古いわけで。

うわぁ、なんとすばらしい保存状態。

ちょっとちぎって持って帰ろうかと思ったw

(↑絶対ダメです)

 

また、神殿の基壇跡には

ウルク期(紀元前4世紀)の特徴である

土製コーンを使ったモザイク装飾が残っています。

 

色のついたバージョンもあり、

かなり華やかな装飾だったことがうかがえますね。

こんなのが5000年も残っていたのが驚異。

 

同行する考古学の大学教授フセイン氏が

またどんどん遠慮なく中へ入り込んで解説。

もうだいぶ慣れてきました(笑)

あ、イラクでフセインさんは多いんですよ。

というか、あの大統領を日本ではふつう

「フセイン」の部分を取って呼びますが、

フセインは彼の名に付く父親の名前で

アラブ圏では本名の「サッダーム」で呼ぶのが一般的。

この教授は「フセイン」が本名なんですよ。ややこしい。

 

色のついたレンガも使われています。

当時はとてもキレイな宮殿だったんでしょうね。

 

こちらは宮殿内部の遺構。

右側のアーチ門が二重になってますが

下側のアーチは上のアーチより古いもの。

ウルク期は1000年ぐらい続いたので

長い年月の間に砂で埋もれてしまった場所に

さらに新しく重ねて築造したと考えられています。

 

手前の壁面には

戦乱で焼かれた痕も残っています。

右側の崩れた土の上あたり、

壁が黒くなってる部分がそうです。

 

いやぁしかし、

当時はまだ若かったので実感わきませんでしたが

いまこうして「おっちゃん」になってから

あらためて写真を見返してみると

ものすごく貴重な経験してたんだなぁと。

トップレベルの研究者でもなければ

こんなとこ入れませんよね、ふつうは。

 

2時間ほどかけてじっくり見学のあと

管理人さんの応接室でチャイをごちそうに。

これもそうそうないサービスだよなぁ。

いったい何様なんだ、我々はwww

 

部屋にストーブがついてますよ。

アラブって暑い国のイメージが強いですが

冬はふつうに寒いです。

雪が積もることもあるんだとか。ちょっと意外。

あったかいチャイがおいしかったです。

 

縦に長~い部屋がアラブ伝統民家の特徴。

一度席が決まるとちょっと移動が面倒です。

 

お。よく見ると奥の壁には

ここにもフセイン大統領!

一族の写真を押しのけてのセンター扱いです。

家庭の中にまで浸透しているんですね。

まぁ客を招く部屋なので特別なのかもしれませんが。

 

お別れ前に女性の皆さんを一枚。

声をかけて了解を取れば写真もOKです。

うん、アラブの女性って感じですね。

体まで布で覆っているので

頭髪を隠すヒジャブではなく

アバヤやニカーブに近いものですね。

でも真っ黒ではなくでかなり華やか。

 

子供たちも集まってきました。

けっこうみんな写真好き。

 

なんかみんな仲良くなってしまって去りがたい。

名残は尽きませんが、そろそろ出発せねば。

バスで帰途につきます。

あ、ちゃんと「ゲート」があったんだ(笑)

 

夕日に染まる村。

とってもロマンチックです。

日中は曇りがちで小雨も降りましたが

夕方には晴れて、きれいな夕日が見られそう。

 

夕日に映える雨上がりの国道。

絵になるなぁ。

 

そう言っていたら

ほんとにすごく夕日がキレイ。

手前にはヒツジさんも。

 

いやこれはマジきれい。

ちょうど周りに何もないし、

こんなチャンスは二度とないぞ、と

急きょバスを停めて夕日の撮影会です。

我ながらけっこういい写真(←)

この旅いちばんの思い出の一枚です。

 

文字どおりの地平線に沈む太陽。

生まれて初めて見ました。

ニッポンではまず見られませんね。

手前に光るのは国道です。

 

「何やってんのー?」と通りがかりの少年。

む。オトコまで絵になるぞ。

サンセット恐るべし。

 

そもそも写真では再現しきれないし、

それも劣化してるのでとても伝えきれませんが

ほんとに神々しいくらい美しかったんですよ。

思わず涙出そうになったもん。

いまでも心にしっかり焼き付いてます。

 

興奮冷めやらぬままナスーリヤの街へ。

今夜はここのホテルにチェックインです。

おお、ここにもやはり大統領。

 

ホテルは古いドミトリータイプだったのか

ツインのはずの部屋はやたらに広くて

ベッドも3台。ま、お得っちゃあお得か。

でもやはり地方の古ホテルなので

なかなか設備レベルは難ありです。

 

トイレとシャワーはコレ。

広さは充分ですが、セッケンもないぞ。

(あとでもらいました)

奥にあるのはシャワー用の電気温水器。

スイッチ入れて水がお湯になるまで15分。

で、お湯が出るのはたったの5分(苦笑)

見た目ほどお湯タンクが大きくないんですね。

 

エアコンに至ってはこのありさま。

もう原型をとどめてません…

でもこれが動くんだからスゴイ。

試しに右下のスイッチらしきところをいじったら

ブゥゥン、と稼働しました。

冬なので必要なかったですけどね。

 

この日もみんなで街へ出て晩ゴハンです。

その前に、手持ち現金が少なくなってきたので

両替所でイラクディナールを調達します。

どハデな看板。

一目で両替とよくわかるデザインですね。

 

なんとなく20ドルを両替するとびっくり。

札束がどどん。

いきなり大金持ち気分です。

 

ただ見た目は楽しいんですが実態は深刻。

このときは経済制裁が強まっていたうえ

アメリカとの戦争もささやかれる緊張状態で

イラクディナールの価値が急落し、

激しいインフレ状態になっていました。

 

当時のレートで

20ドルは41,600ディナール。

イラクの紙幣も急激なインフラに追いつかず

それまで最高額紙幣だった250ディナールを

大増刷して間に合わせていたので1種類のみ。

「1万ディナール紙幣」もまだなかったので

結果166枚もの札束になったんです。

 

みんなサイフをパンパンにして食堂へ。

で、今夜のメニューも

やっぱりホブズにケバブ…

どうしてもこれしかないんですよね。

地方では特に選択肢があまりありません。

ワタシなんかはお肉好きだし、

店による微妙な味の違いも楽しめたんですが

年配の参加者には不満も多かったようです。

ニッポンの年寄りは文句が多いぞ(笑)

 

スタッフの少年に声をかけるとこの笑顔。

ほんとみんな愛想がいいなぁ。

 

厨房のおっさんにも呼び込まれ

「オレたちも撮ってくれよ」とばっちりポーズ。

インスタントカメラだったらあげられたのに残念。

 

食堂でおサケが飲めないので

食事が終わると早々にホテルへ帰還。

明日に備えて早く寝ます。

きょうはここまで。

読んでくださった皆さまもお疲れさまでしたw